第10話 そしてみんな
「じゃあ、私は何を描こうかしら~」
お姉ちゃんがじっと考える。
「持ってきたクッキー描いて変身できないかしら?僕の名前はクッキーマン!!僕の顔をお食べ~とかできたら、おもしろそうじゃない?子供の頃からやってみたかったのだけど」
「それア〇パ〇マンだから!」
ちょっと天然の入った優衣お姉ちゃんらしいボケである。
「うーん、1ページ目に動物って書いてあるから、無理だと思うよ??」
動物の範囲がどこまでかはわからないけど、少なくともクッキーは入らないだろう。
「じゃあ早速試しに描いてみましょうか~」
かきかき、かきかき。
さっとクッキーを描き上げる。しーん。何も起こらない。
「やっぱダメだったみたいだな」
クッキーをポリポリかじりなから、ハリネズミになったチャチャちゃんが言う。やはり動物を描かなければ変身できないようだ。
「おっきくなったクッキー、食べてみたかったネ」
パフィンちゃんも残念そうだ。仮に変身できたして、顔をかじられて大丈夫なのだろうか?
「じゃあ気を取り直して~、私はこの子を描くわ。コツメカワウソのみぃたん☆」
そう言うと、みぃたんを大きめのケージに入れて持って来る。
近年、カワウソはペットとして人気急上昇中で、価格は高騰、密輸なども社会問題となっており、度々テレビニュースなどにも取り上げられている。
とても食欲旺盛な動物で、野生の個体は生魚をバリバリ頭からかじって食べたりする。食べる量も多く、普通の大きさの子でも人間の大人以上の食費がかかる。
また、水遊びをするための小型のプールなどの設置も欠かせないので、カワウソにストレスをかけずにきちんと飼えるのは、ある程度経済的に余裕のある家に限られる。
その上、正確に診察できる獣医師ももまだまだ全国的に不足している状態なので、獣医師である両親が自主的に勉強のためにうちで飼育しているのだ。
事実、うちの病院にはわざわざ県外からカワウソの子を連れてくる人もいるのだ。
医師という職業は、大人になってからも常に勉強を継続しなければならない仕事で、本当に両親を尊敬する。
みぃたんは家族全員になついていて、好奇心旺盛ながらも空気の読める性格なので、ケージの中にいる間はおとなしくしていてくれる。
「じゃあ早速、描いてみましょうか~」
お姉ちゃんも絵の専門家というわけではないので、カワウソ?トカゲ?ヤモリ?という感じの絵が仕上がった。
そしてー。
「ティティアンエボリューション・コツメカワウソ!」
お姉ちゃんの身体が光りだし、変身が始まった!
そしてその光が消えると、
グレーの短い体毛風の、ホルターネックタイプ、セパレートの水着にパレオが巻かれているような格好だ。大きなしっぽがブンブンと動く。
うーんこれはセクシーかわいい!さすが高校生!
「本当に…変身しちゃった…」
鏡を見つめながら、呆然とするお姉ちゃん。
「鈴ちゃんのお姉ちゃんもとってもかわいいです!!」
「くふふ、これで私たち共犯ですね!」
「これならみんなでカワウソになって、水族館でカワウソコスプレショーを開けば大儲け出来る!!」
「おおー、プリティー!!さあさあさっそく写真写真!!」
これでみんな、動物少女に変身してしまった。一通り記念写真を撮り終わると、次の関心はー。
スピックスコノハズクに変身した、わたし。
「鈴ちゃん、空飛べる!?」
※※※※※※※※※※※※※
主人公周りの設定ですー。
飛鳥川 鈴(あすかわ りん) 本作の主人公。フォッサ女学院中等部生物部に所属する中学1年生。不思議な本「ティティアンノート」を発見したことから、動物少女に変身できるようになる。
絵が下手なので、ティティアンノートにスケッチを描くのは一苦労。ペットはフクロウのスピックスコノハズク「スピピ」
下連雀 彩(しもれんじゃく あや) 中学2年生、生物部。しっかり者の優しい先輩キャラ。ペットは三毛猫の「マーブル」
燕昇司 楓(えんしょうじ かえで) 中学1年生、生物部。家はネットカフェチェーンを経営している。
昔のマンガなどに詳しい。ペットはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメル」
馮 佳佳(フォン チャチャ) 中学1年生、生物部。中国系の女の子。 家は横浜中華街の料理店、「壱弐参菜館」。
料理が得意。お金が好き。ペットはヨツユビハリネズミの「小太郎」
パフィン・アルエット 中学1年生、生物部。外国から来た生徒。飛び級で進学しているため現在10歳。
日本在住5年。好奇心旺盛でツッコミ大好き。ペットはパピヨン犬の「パピ」
飛鳥川 優衣(あすかわ ゆい) 鈴の姉。フォッサ女学院高等部の高校2年生。ちょっと天然の入った性格。
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