征服者＝❰死神コロンブス❱ 【キャプテン・ミニー外伝Ⅰ】

釈明

💀⛵🔫🔪Conquistador=❰La parca de la muerte Colón❱

　【これは、本編のカスティーリャ調査団が新大陸統治情況について調べ終えた辺りからその後のコロンブスはどうなったのか？

その後の話である】

新大陸調査団の執拗な調査に漸く気付いたコロンブス。

ギクリとして冷や汗が出た。

❪まさか………………❫

コロンブスはハッとし、急いで新イサベル要塞に戻った。

すると、自身の手記を置いているいつもの場所に、物が忽然と無くなっていた事に気付いた。

❪し………しまった！！！！！❫

そのタイミングで新大陸調査団は帰国する為、出港した。

コロンブスは、

❪これはまずい！！❫

と、大慌てで船を出したものの、調査団が乗った高速船と、自身が乗った交易兼長期探索船とでは、推力に明らかな違いが出た。

調査団にだいぶ遅れ、カスティーリャ王国に着いたコロンブスは、直ぐ様、王夫妻に謁見を申し出た。

すると国王のみ謁見を許された。

謁見の間では、国王の横にタラベラ大臣が居た。

大臣は数歩前に進み出て、恐ろしい程憤った表情をしながらコロンブスの調査報告書を全て読み上げた。

タラベラ大臣👴💢『以上である！！

こんの、愚か者めがあああ！！！！！！！！

異論はあるか？！

あれば申してみよ！！！』

………………それから暫くの間、コロンブスは姑息な手段に出た。

両腕を大きく動かし、身振り手振り激しく声高(こわだか)な弁明を繰り返したのだ。

例を挙げれば、

“新大陸住民への集団殺戮は、自分が病に倒れている間に部下が勝手にした事であり、自分は関与していない”

【※1】

という、あから様な無責任発言や、

“住民を奴隷にしたのはカスティーリャの事を思ってやったまでであり、私利私欲の為ではない。

その一部をイサベル女王に献上したのが何よりの証”

という見え見えの嘘等………

実に小見苦しく無駄な言い訳が延々と続いた。

国王は口を開いた。

フェルナンドⅡ世👑『何故イサベルが御前に会わぬか理由が解るか？

妻から御前宛に言伝(ことづ)てを頼まれた。

聞け。

“………………………コロン。

私は貴方の新大陸先住民達に対する素行を知り、裏切られた気持ちで一杯になり、胸が張り裂けそうでした。

部屋に閉じ籠り、一週間の間、発狂するかの如く啼き叫びました。

床をゴロゴロと転げ回り、食事は喉を通らず、髪の毛は抜け落ち、肌の張りが全く無くなり皺も沢山増え、歯も一本抜け落ちました。

私は最早、嗄(しわが)れた老媼(ろうおう)の様な姿なのです。

恥ずかしくて人前に顔を出せません。

コロンよ。

どうか陛下に誓って下さい。

もう二度と先住民達に蛮行は致しませんと”』

フェルナンドⅡ世は目を細め、少し体を震わせながら冷酷な声で言った。

フェルナンドⅡ世👑『私達夫婦を失望させるなよ………………コロン………………………』

コロンブスは号泣し、国王に謝罪した上で、今後は二度と先住民達に乱暴な行為を致しませんと誓った。

その結果、国内にて謹慎を命じられつつも何とか許された。

コロンブスが涙を流しながら謁見の間を出て行くと同時に、タラベラ大臣は顔を国王に向け進言した。

タラベラ大臣👴『陛下！！

あの様な食わせ者を信用してはなりませぬ！

あの強欲者は、既にベルゼブル【蠅悪魔・サタン】に魂を売り渡した者であると存じます！

最早悪魔の手先と化しておるので御座いましょう！

放って置かば益々付け上がるやも知れませぬ！

是非とも、引き続き新大陸に調査団を派遣し、あのペテン師めを監視なさるべきで御座います！』

国王は頷いた。

フェルナンドⅡ世👑『エルナンドよ。

そちもそう思うか。

余も全く同感である。

先程の態度を見ても、あやつは何等反省していない様子であった。

再犯に至る確率は、極めて高いであろう。

奴を常に監視し、重大な違犯を犯そう物なら即、逮捕せよ！！

決して抜かるでないぞ！』

タラベラ大臣👴『ははっ！！

委細承知仕りました！』

謎の女性『………………………………………………』

幕の奥に身を潜め、様子を伺う女性がいた。

その女性は王と大臣のやり取りを心配そうに聞いていた。

タラベラ大臣『この大臣の目の黒い内は、あの悪魔の尻尾！

握り続けましょうぞ！！！』

フェルナンドⅡ世👑『良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶと云うからな。

あやつは、きっと後者であろう』

タラベラ大臣👴『“偽預言者を警戒せよ。

彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。

あなたがたは、その実によって彼らを見わけるであろう。

茨からぶどうを、あざみからいちじくを集める者があろうか。

そのように、すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。

良い木が悪い実をならせることはないし、悪い木が良い実をならせることはできない。

良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれる。

このように、あなたがたはその実によって彼らを見わけるのである”

❪マタイによる福音書 7:15‭-‬20❫

ですな』

フェルナンドⅡ世👑『その通りだ。

だが、エルナンドよ』

タラベラ大臣👴『はっ』

フェルナンドⅡ世👑『この場に於いて聖句を全て言う必要性は無いぞ』

タラベラ大臣👴『失礼しました』

………………その時、幕の奥に隠れて様子を伺っていた女性が、一瞬ｸｽﾘと笑った。