第27話 風のシルフ

俺は今騒音トラブルに出くわしてしまっている。




 「うるせえよ。お前何者だよ?」




 俺の目の前にいる精霊は風を纏いながら人の部屋で食料探しをする。




 「私の名前はシルフ。お腹すいて迷い込んだ先が、ここだった。因みに迷い込んだ理由は転生者探しの為」




 転生者探しだと。しかもシルフと言えば四大精霊の一つじゃねーか。




 「俺がその転生者なんですけど」




 「知ってるわ。独特の魔力を感じるもの。それよりビスケット以外ないの? 何か買ってきて」




 うぜえ、勝手に侵入してきて家捜しして、買ってきての命令口調かよ。




 俺はハイルの言葉を思い出し、具現化魔法で料理をシルフに振る舞う。




 シルフは満足そうに食べていた。




 精霊でも食事するんだな。知らなかったぜ。




 「で? 何でシルフは転生者探しを」




 「それは……アヴ……ァロン……に」




 食べてから話しかけるべきだった。




 ゴクンというシルフの食事が終わる合図がした。




 「アヴァロンに用があるからよ。転生者は最強だから宝石集めてくれると思って」




 ああ成る程ね。合理的な理由だ。




 「私と契約しない? 名前は?」




 「俺はルクス。契約って何だ?」




 「契約すると私とルクスの協力魔法が使えたり、とにかく色々本来の力を出せるようになったり、強化されるわけ」




 「俺でいいなら契約してやるよ」




 「決まりね。風のシルフが命じる。私と契約する事を誓うか汝よ」




 「誓います」




 俺とシルフが契約した瞬間、俺に強力な風魔法が加わる。




 チートスキルと組み合わせると更に強化されそうだな。




 「これで契約終了。さて私はこのベッドで眠るから、何かあったら起こしてね」




 どこまで我が侭で傲慢無礼な奴なんだよ。




 まあ小さいし、場所取らないし別にいいけどな。




 俺は完全に目が覚めたので図書室に向かう。




 シャルロッテがいるかもしれないしな。




 あいつにも聞きたいことがあるしな。




 図書室に行くと早朝なのにシャルロッテが本を読んでいた。




 「おはようございます。早朝なのに図書室なんてどういう風の吹き回しですか?」




 「勉強しに来たんだよ。次のテスト赤点は不味いからな」




 相変わらずシャルロッテは何を考えているか分からねえな。




 「ゾンネ相手に見せれたか? 俺は」




 「ふふっ。はい、ゾンネ相手に簡単に殺しができるあなたを見て安心しました。それに宝石がこの学園に4つもあるんですね。ルクスならアヴァロンに行けそうですね」




 何を言いたいかいまいち分からないな。




 まあいいか。シャルロッテとはいつか戦いたいな。




 まあ俺の予感では敵にはならなさそうだが。




 「一つ聞いていいか?」




 「何でしょうか?」




 「なぜ宝石が4つあることを知ってる? それにアヴァロンについても」




 シャルロッテは俺の問いに思わず吹き出して笑ってしまう。




 「私は意外と物知りですから」




 「そうかよ。邪魔したな」




 俺は自分の寮に戻りテスト勉強をした。




        ~~~~~~~


 リヒトは上位悪魔を含む殆どの悪魔を討伐していた。




 「サラマンダーもう終わったよ」




 「つまんないな~。もう少し歯ごたえが欲しいよね~」




 サラマンダーは炎を纏いリヒトの肩に座る。




 可愛い見た目とは裏腹に凶暴である。




 「さて残りの悪魔はサタンとベルフェゴールのみかな。宝石とは無関係だが絶滅させておこうか」




 「私が殺やる、殺やる」




 「一緒にね」




 リヒトは人間界から魔界へと移動する。




 「天使は任せたよルクス」




 リヒトはサタンが住まう場所へと向かった。




        ~~~~~~~


 俺はクラスで見せ物にされていた。




 主にこの精霊のせいで。




 「可愛いわね。何四大精霊の一つと契約したの、凄いじゃない」




 アウラがシルフの頭を撫でる。




 よく食べる奴だけどな。




 チートスキルなかったら破産していた。




 「どこで見つけたの?」




 イドラが聞いてくる。




 「部屋で」




 イドラはきょとんとした顔で此方を見てくる。




 「ふふっ、相変わらずトラブルメーカーね」




 笑い事じゃねーよ。




 その後も他のクラスでも話題になり、遂にはアルカディア国全域で四大精霊が俺と契約したことを知り、話題騒然となった。






 放課後寮でテスト勉強をしていると、シルフがゴクンという大きな音を喉から鳴らし食べ終える。




 「宝石の在処私知ってるけど教えてあげる」




 俺はテスト勉強を中断して、シルフの話に真剣に耳を傾ける。




 「どこだ⁉ 教えてくれ」




 「天使族が一つ持っているわよ。昔自慢されたことがあるから」




 天使族だと。アレッタの仲間か?




 「天使族はどこにいる。教えてくれたら美味しい食事を授けよう」




 シルフはよだれをジュルジュルと垂らしながら喋り始める。




 四大精霊も食欲には敵わないか。ちょろいぜ。




 「天界の奥にいる四大天使の一人ウリエルが持っているわ。あ、因みにラファエルは行方不明なのよ。ルシファーも」




 ウリエルが持っているのか。しかも天界ってどこだよ。




 ん? ラファエルとルシファーが行方不明ってどういうことだ。




 「行方不明の理由は知らない。天界に行く気になったら起こしてね。私寝るから。おやすみ」




 「あ、ああ」




 こうして俺は四大精霊の一人風のシルフと契約した。




 そして5つ目の宝石の場所の天界へと向かうことを決心した。

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