第16話 ブラックリング

俺は宿に戻り一人ベッドで寝ていた。




 俺が帰って来たときエデンもハイルもまだ宿には戻って来ていなかった。




 今日は疲れたな。ブラックリングに関しては明日でも二人に話すか。




 俺は眠りにつくと一つの夢を見た。




 大きな一つの真っ白な空間に大きな椅子があり、そこに座っている美少女が俺に語りかけてくる。




 『ねえルクス、世界の実権を握っているのは誰だと思う?』




 誰だ? 俺に話しかけてくるこの美少女は。




 『私は転生者。この世界の真の敵は同じ転生者なんだよ。いつか会えるといいねルクス』




 俺の夢はそこで途切れる。




 俺が目を覚ますとアウラとエデンに挟まれていた。




 誰だったんだあの美少女。どこかに座していたな。




 ってかそれより何でベッド二つあるのに一つのベッドで三人仲良く就寝なんだよ。




 まったく困った奴らだ。




 「何? 起きてたの早いわね」




 「ああ……って俺の事見て驚かないのか」




 「あ、ああああああああああああ……なんて驚く訳ないでしょ。ナハト殺したのバレバレ」




 何だ知っていたのか。ハイルは俺を殺そうとはしないんだな。




 「なんじゃ? うるさいのう。昨日はギャンブルで忙しかったんじゃ。うう寝不足で頭痛がするのう」




 は⁉ ギャンブル。今ギャンブルって言いました。




 お前何やってんだ。ギャンブルやってる場合じゃないだろ。




 「ハイルは何やってた?」




 「私は読書巡りよ。何悪い?」




 駄目だこいつら何とかしないと。




 「俺しか成果出してないよな。お前ら何やってるんだよ」




 二人は照れ笑いしながら、俺から視線を逸らす。




 ああそうですか、俺だけ色々真剣に悩んでたのが馬鹿みたいじゃねーか。




 「取り敢えずナハト殺した。これで俺とハイルの宝石で二つだ。後五つ集めないとな」




 俺はその後もブラックリングの事やナハトの記憶の事、夢の事を二人に話した。




 「ゾンネの組織ね。次の標的はゾンネで決まりね。異論ある人?」




 「ありません」




 「ないぞ」




 確かに三つ目の宝石を手に入れるには、ゾンネに接触するのが手っ取り早い。




 「それにしても独断行動とはいえよくやったのう。ルクスも人殺しを覚えたんじゃのう」




 いやいや普通はどん引き或いは説教だろ。




 何親心の様に語ってんだよ。




 やっぱり異常者には異常者が集まるのか。類は友を呼ぶとは正にこの事。




 「一度学園に戻るとするかのう。情報収集の収穫もあったわけじゃしな」




 そうだな。色々な事が分かった。




 伝説の島の名前は恐らくアヴァロンで決まりだ。




 神や女神、それに俺と同じ転生者が存在する。




 ああゾクゾクする。楽しみで仕方がない。




 唯一の気掛かりはナハトの妹か。




 まあ後でいいか。




 ジャミングかかっていて会えそうにないしな、今は。




 俺達は宿を後にし、スノー帝国を去った。




        ~~~~~~~


 シャルロッテはスノー帝国で天使族のアレッタと出会い情報交換をしていた。




 「シャルロッテさん。戦闘中に急用で呼ぶの止めて貰えませんか? まあいいですけど」




 「ははっ、ごめんね。今ルクスに君が殺されて欲しくなかったからね。ルクス強かったでしょ。私も戦いたかったんだけどね」




 シャルロッテは満面の笑みで答えた。




 「はい強かったです。最早異常な強さですよ、一体何者何ですか?」




 シャルロッテは顎に人差し指を当ててうーんと考える。




 「分からないけど、私に少し心当たりがありますよ。それよりブラックリングについての情報を教えて貰えますか?」




 アレッタは頬を膨らませて不満げな表情を見せた。




 「ブラックリングはゾンネが率いる組織の一つですね。各国から指名手配中のゾンネですが行方は分かっていません。しかし幹部の情報は判明しました。幹部から聞き出せばいいでしょう」




 アレッタはシャルロッテにメモを渡すと自慢の綺麗な翼で遠くへ飛び立つ。




 シャルロッテは鼻歌を歌いながらメモを見て何処かへ移動していく。




         ~~~~~~~


 ゾンネはハイルの裏切り行為を受けて作戦を変更していた。




 「アルカディア国に宝石が二つ。奇襲をかけるなら今しかないかしらね。しかしあのルクスという少年相当に強い。入念な準備が必要ね」




 ゾンネは幹部の四人に命令を下す。




 アルカディア国を奇襲するのはルクス達が帰国してから数ヶ月後の事であり、ルクスはまだ知る余地もなかった。


         ~~~~~~~


 イドラはナハトの死を感じとっていた。




 「姉さんさようなら」




 イドラは膨大な魔力で魔法陣を描き、アルカディア国まで瞬間移動する。




 「ママ、アヴァロンはもう少しだよ」




 イドラはアルカディア国へと入国した。


         ~~~~~~~

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