第15話 こぐまちゃん、ネックレスを買ってもらう

隣の店を覗くと雑貨店だった。ベアードはホクホクした顔で入っていいという。結構広い店で家具や食器、小物など様々な物が置いてあった。おおぐまちゃんは調理道具やお皿を新作の料理を想像しながら手にとって見ていた。こぐまちゃんはソファに座ってみたり、チェストの引き出しを開けてみたり楽しそうに歩き回っている。レジの前にはショーケースがあり、その中には紫翠石のネックレスやブレスレット、指輪などが置いてあった。値段はそれなりにするが、思ったほど高くはなかった。おおぐまちゃんがショーケースを覗き込んでみていると、こぐまちゃんがへばりついてきた。

「たかいものなの?」

「思ったほどではないみたいだよ。こぐまちゃんはどれが好きかな。」

「んーとね、これかな?」

おおぐまちゃんに似たデザインのネックレスだ。

「着けてみるかい?」

店員に頼みケースから出してもらい、こぐまちゃんの首にかけてあげた。

「わあぁ、すてき!」

満足気に鏡に写った姿を見ている。

「あのねこぐまちゃん。指輪はもう少し待ってもらっていいかな?」

「こぐまがもうすこしおおきくなってから?」

「そうそう。大丈夫?」

「たのしみにまってるね。でもいっしょにえらばせてね。」

嬉しそうに笑いながら店の中を走りまわった。


支払いを済ませ店から出るとベアードが2頭を見て

「すごくお似合いですよ。私も好きです紫翠石。」

ベアードのネクタイピンにも紫翠石があしらわれていた。

するとベアードの携帯電話がなった。

「はい。えっ・・・はぁ・・・了解しました。」

電話を切るとニヤリと笑って

「もうお二人は自由に行動していいそうです。先程クマランドとの和解が成立したそうです。今日はお二人でごゆっくりお過ごしください。あっ明日は病院までお送りしますので時間どおりにおねがいしますね。」

と言い残してベアードは去っていった。

おおぐまちゃんとこぐまちゃんが乗ってきた船にはクマランドからの使節が同乗していて秘密裏にクマランド政府と接触し、懸案のナワバリ問題の交渉が行われていた。あたりを見渡すとそのニュースが報じられ、皆が大騒ぎしていた。

「これでまた新鮮なものが手に入る!君たちが幸運を運んでくれたんだね、ありがとう!」

レストランのシェフが2頭に握手を求めてきた。

「お互いおいしい料理を作りましょう!」

おおぐまちゃんとシェフが抱き合った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る