一葉の異国

針谷諒太

日本語

僕と君の机戦

 君がするりするりと紐をほどき、そっとそこに盤を広げる。真ん中にずらり。並んだ山から、ぱちんぱちんと駒を置いていく。からりからりと投げ棒を投げた。僕は3、君は0。僕は最初にダウを上げた。君も同じように虎を上げる。

「真似すんなよ。」

「でもこれって定石でしょ?」

とか冗談を言いながら戦いは続く。


 「これで勝ちね。」

君の勝ち誇った顔。負ける訳にはいかないと投げ棒を投げる。結果は0。それなのに僕は勘違いして、次の手を考える。

「よし、じゃあこうだ。」

僕はタムを動かそうとする。君も同じ手を指そうとする。

「あっ。」

手と手が触れ合った。

「ごめん、そっちの番だっけ?」

僕は恥ずかしかった。手番を間違えたから。それに――。

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