俺の人生 おまえの人生

ボクは、カリウム。

中学2年生

2015年 10月 

第1話  進路希望調査

 次は俺の番か、初めての二者懇談に俺は少し緊張していた。何を言われるんだろうか…そう考えているうちに自分の番になった。騒がしい教室を出て廊下に用意された椅子に先生と向き合って座る。

「まずはこれが前回のテストの結果ね。これを見て今の自分と向き合って、一緒に進路について考えよう。」

 そう言って先生が見せて来たのは夏休み明けテストの結果だ。恐る恐る結果を見て見る。当たり前だが自分でもびっくりするほど出来が悪かった。こりゃ親に見せれないなーなんて思いながらとりあえず落ち着くために足をブラブラさせる。

和亜樹かずあきはどこか行きたいとか希望の高校はあるのかー?」

 と先生に聞かれたが行きたい高校なんて考えたこともなかったので答えに迷った。ので、県内で一番偏差値の高い

南高なんこう理数科です。」とかふざけて「第二希望はホ☆ワーツ魔法魔術学校です。」と胸を張って言った。それを聞いた先生は苦笑いをしながら言う。

「今の学力じゃ無理だな〜」

 そんなことは分かっている。絶対無理だ。

「もう中二の十月。早く進路決めて勉強しないと、後で後悔するよー?」

 と優しく俺に言ってくれたが、勉強しろと言われても何をしたらいいのか全くわからない。とにかく俺はバカだった。

「先生、俺どこの高校なら行けますかね?」

 と恐る恐る聞いてみた。そしたらあきれた顔で

「今のお前の学力じゃ東洋高校も厳しい。」

 と、はっきりと言われた。東洋高校の偏差値は四十二でスポーツで有名な私立高校である。

「今からやればまだ間に合うから。毎日少しずつ勉強しなさい。」

 先生の口調から事の重大さに気づいた。俺、東洋高校も行けないのか。

 教室に戻りもう一度テストを見る。点数は全部五十点以下だし、順位なんて下から数えたほうが早いじゃないか…なんだか笑いがこみ上げてきた。

「何1人で笑ってんの」隣の席の裕希菜ゆきなが話しかけて来た。

「いやーテストの結果やばくてさ、おまえどこの高校行きたいの?」さりげなく聞いてみた。

「んーうちは南高の普通科かなー家から近いし、学費も公立高校だから安いし」

「へー」

「和亜樹はどこか行きたい高校あるのー?」

「俺はな、南高の理数科や!!」とふざけて言った。裕希菜は「すご」と笑いながら席を離れて行ってしまった。

 さっきまで行きたい高校はなかった。が、たった今心の中で行きたい高校が決まってしまった。裕希菜が行くなら俺もそこに行きたい。いや、行くしかない。とにかく裕希菜と同じ高校に行きたいと思った。







 俺は裕希菜に恋をしていた。













 その日配られた進路希望調査の紙にはしっかりとボールペンで

「第一希望 南高校普通科」と書いた。



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