第46話 親への挨拶!

後日、僕は新しいスーツをバシッと着て、まずは、小豆沢あずさわ家から伺うことにした。

笹野さんのホントの生みの親だ。

緊張するなあ。

「大丈夫! リラックスしろ」

笹野さんは緊張した僕を励ます。


〜12月末小豆沢家〜

僕は手土産を笹野ささのさんのお母さん(小豆沢)に渡した。


「いらっしゃい! よく来てくれたわね」

笹野さんのお母さん(小豆沢)がにこやかに出迎えてくれた。


「久しぶりに来たと思ったらいきなり結婚だなんて……」

お父さん(小豆沢)は不機嫌そうだ。


「父さん怒らないでよ。もう危険はなくなったんだからこれからは来るよ」


「お前はいつも1人で抱え込む! 少しは親に相談しなさい! 大事な一人娘なんだから」

やばい!不穏な空気だ……


「兄さんは……? 2人は離婚したんじゃ……? 」

笹野さんは戸惑いながら言った。


「離婚なんかしてないぞ! それに蔵子は一人っ子だろう? 」

お父さん(小豆沢)が不思議そうに言った。

智之ともゆきさんは居なかったことになってて離婚してないのか。


「まあまあ一杯飲んで下さい! 」

僕がお父さん(小豆沢)にお酒を注ぐ。


〜しばらくして〜

「あははははははは! 君は面白いね! 気に入ったよ。実はね! 」

お父さん(小豆沢)はかなり酔っているようだ。


「あははは。お義父さんこそ!娘さんと結婚させてください」

僕は泥酔しながら言った。


「よし! 君と家族になるのが楽しみだ! 」


「2人とも飲みすぎだ! 」

笹野さんが僕達が飲んでいた一升瓶を取りあげた。

権蔵とはこべさんはずっと黙って見ていた。


〜後日〜

笹野家がわざわざ来日してくれた。

緊張するなあ。


「大丈夫!リラックスしろ!」

笹野さんが言ったのかと思ったら権蔵だった。


「それ……私の真似か? 」

笹野さんが、権蔵のことを見た……。


すると、権蔵は怯えてすぐ謝った。

「ごめんなさい!」


「ハーイ! メリークリスマス! ありす」

お母さん(笹野)とお父さん(笹野)が空港のゲートからでてきた!


「君が橘くんだね! 」

お父さん(笹野)がハグしてきた。

すごくフランクだな。


僕達は観光してからお座敷のある静かな和食屋に入った。

「橘くんは仕事は何をしてるのかな? 」

「会社員です!バルーンフラワー株式会社で総務をしてます」

するとお父さん(笹野)とお母さん(笹野)は顔がこわばった。


やはり笹野さんと僕では年収が釣り合わない。


「でも家事とかはされるんですよね? 」

お母さん(笹野)がフォローしてくれた。


「はい。できる限りやります!」

僕は全身全霊で答えた。


「具体的には何が得意ですか?」

掃除は苦手だし料理はインスタントだし、洗濯はいい加減だし……


「ごみ捨てですかね」

お父さん(笹野)とお母さん(笹野)の顔がくもる。


「今の時代夫婦の形ってそれぞれだと思うんだ。私ができないことをしてくれる彼は最高のパートナーだよ」

笹野さんがニッコリと言った。


「あはは! さすがありす! 僕達はこだわりすぎていたのかもね。娘をよろしく頼むよ!」

お父さん(笹野)が笑いながら言った。


ふう。危なかった!


ここでもはこべさんと権蔵は黙っていた……。


〜後日新年早々〜

いよいようち橘の実家に行くことになった。

笹野さんは緊張しているようだ。


「大丈夫ですよ! うちの親は厳しくないから」


「やはり家族になるのだから緊張はするよ」

笹野さんは僕の手を握った。


「もー黙っておれん! お前ら危なかっしいんじゃ」


「愛長様! 黙って見届けるお約束でしょ! 」


はこべさんが権蔵の服を引っ張る。


「いいよ!ずっと黙られているのも気持ち悪いからさ」

僕はちょっと安心した。


権蔵はずっと黙って見ているタイプじゃないもんな。

はこべさんが黙ってるように提案したんだな。


「明けましておめでとうございます!ようこそ!いらっしゃい」

母ちゃんはニコニコしている。


「あっどうも……」

父ちゃんは緊張しているようだ。


「兄貴!おめでとう!」

りきは微笑んでいる。


「あけましておめでとうございます! 宜しければこれどうぞ! 」

笹野さんは持ってきていたお土産みやげを母ちゃんに渡した。


「あんまり権太ごんたと似てなくて、顔の整った家族じゃのう」


コノヤロウ!権蔵のやつ、言いたい放題いいやがって!


「まあお気遣いありがとう!このケーキはどこで買われたの? 」

母ちゃんが台所に行き、ケーキを取り出した。


「朝自分で作りました」

笹野さんは遠慮がちに言った。


「自分で持ってきたのを持ってくるとは相当自信があるじゃのう」


「お料理得意なのね! 」

母ちゃんは驚いていた。


「いやあ権太の嫁さんがこんなにべっぴんさんだとは驚いたなあ」

父ちゃんは少し照れているようだ。


「権太には釣り合わんのう」

僕は黙ってお守りに念じた。


「ぎゃあ」


「お仕事は何されてるんですか?」

力が笹野さんに質問した。


今猿いまさるコンサルティングで経営コンサルタントをしてます! 」


「あの大手の? 有名な? 」

父ちゃんが小さい声で呟いていた。


3人ともポカンとしていた。


「権太!ちょっと来なさい……!」

母ちゃんが僕を別室に呼ぶ。


「大丈夫なの? あんな完璧なお嬢さんで……! あんたと釣り合ってない気がするけど……」


「そうじゃ。今から結婚やめてもいいんだぞ」


「大丈夫だよ! それを承知で結婚するんだから」

やっぱり釣り合ってないと言われたか。


「権太がいいならいいけど……」

母ちゃんはそう言って元の部屋に戻った。


僕は部屋に残って権蔵と話しをする。


「頼むからやっぱり黙っててくれない? 」

僕はそう言って、お守りに念じた。


「ぎゃあ!わかった!」

僕はさっきの部屋に戻った。


「ふたりとも、疲れただろ? また後日結婚式についてお話しましょう。そろそろ畑のほうしないとな」

父ちゃんがその場をまとめようとする。


「分かりました! でも手伝います! 」

笹野さんはそう言って、立ち上がった。


「でもその服じゃ……」


「大丈夫です!着替え持ってます」

笹野さんはカバンから着替えを出した。


いつの間にそんな着替えなんて持ってきてたの!?


その後笹野さんは洗面所で着替えて、初めてとは思えないぐらい畑仕事を完璧にこなした。笹野さんは、すっかり母ちゃんとも打ち解けていた。


「うちの嫁にぴったりだね!」

母ちゃんは笹野さんのことが気に入ったようだった。


後日結納ゆいのうをすることにした。結納には略式結納と正式結納がある。略式結納には仲人ありとなしと選べる。

僕達は仲人なしの略式結納を選んだ。


ホテルに結納セットを予約した。


そして、僕は最初の事故の時に今猿さんから貰ったお金から結納金100万円出した。


笹野さんの両親は2人ずついるので乾杯の挨拶以外は 僕達当人同士で行うことにした。


僕はスーツを着て、笹野さんは着物を着ている。なぜか笹野さんの両親側の席に権蔵とはこべさんも座っていた。


「お納めください」

僕が緊張して言った。


幾久いくひさしくお納め致します」

笹野さんも緊張しているようだ。


最後に家族みんなで集合写真を撮ってもらった。


ちゃっかり権蔵とはこべさんも並んでいた。


「あっなんかここに顔みたいなのが写ってませんか? 」

笹野さんのお母さん(笹野)が気づいて怖がってる。


「うーん。きっと後ろの背景ですよ!」

笹野さんが慌てて言った。


「権蔵!この写真通りの背景にしろ……!」

僕が権蔵にこっそりと言った。


「ふんぬ!」

笹野さんのお母さん(笹野)が振り返る前に背景の壁を、変えたようだ。


「あら、そうだわ」

笹野さんのお母さん(笹野)は安心したようだ。なんとかごまかしたな。

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