第34話 少子高齢化と青柳邸!

僕達は解散して帰ることにした。智のことを青柳くんにも色々聞きたかったが、多忙な青柳くんは儀式の後に用事があるらしく次回になった。


僕の部屋に到着してからずっといちゃつくふたり……


「もうやだ~くすぐったい~」

「同じ霊体同士なら触れるんじゃのう」

えっどこ触ってるんだよ!


「夕方から何やってるんだよ! 」

「はこべのほっぺをツンツンしてただけじゃ」

ああ、てっきりいやらしいことをしてるのかと……


~その晩~

僕は布団に入っていた。

「もう権太は寝たようじゃぞ」


僕はまだ起きてるぞ。


「愛長様いけません。橘さんが起きたら」


「いいじゃないか。権太は一度寝たら起きんぞ」


だから僕はまだ起きてるぞ。


「昔は毎日してたじゃろ? 」


権蔵……何をしようとしてるんだよ!


「今は霊体ですし……」

がんばれ! はこべさん!


まあどうせマッサージとかいうオチだろ。


「いいじゃないか。愛するもの同士でまぐあうぐらい」


まぐわう……?僕はこっそりスマホの辞書で調べてみた……まぐわうとは男女が結ばれること……

完全にいやらしいことじゃないか!


「こらあ! 権蔵! 何しようとしてるんだよ! 」

さすがに見て見ぬふりは出来ないな!


「権太起きてたのか! 」

権蔵は飛び上がって驚いていた。


「すまぬ。童貞の権太には刺激がきつい話しじゃったな」

権蔵……謝ってるのか? けなしているのか?


「僕が童貞なのはお前のせいだろうが! 」


今まで僕のチャンスをことごとく潰したあげく、笹野さんといい感じの時には権蔵が見ていてだめだった。僕はお守りに念じた。


「ぎゃああ。謝ったじゃろ! 」

権蔵が逆ギレしている。


「分かりました!私は夜は光さんのところに行きます」


「夜は危ない歩いていくのは危険じゃ」

権蔵が心配してはこべさんを止める。


「瞬間移動ができればいいのですね。ふんむ! 」

はこべさんがそう言うと、目の前から消えた。


僕と権蔵は呆然としていた。少しするとはこべさんが目の前に現れた。


「私は瞬間移動できるみたいですね!」

少し嬉しそうなはこべさん。


「わしもできるかな? ふんぬ!」

しかし、権蔵がいくら唱えても瞬間移動はできなかった。


「わしはできぬようじゃのう」

権蔵は、かなりがっかりしている。


「はこべとあんなことやこんなことしたいのに」

僕がお守りに念じる前に、はこべさんが権蔵の頭を引っ叩く。


自分も疲労するお守り攻撃よりはこべさんに殴ってもらった方が楽だな。


てれびテレビとやらで言ってたぞ。少子高齢化が今問題らしいのじゃ。わしも貢献しないと……」


「権蔵は霊体だから頑張っても少子高齢化には関係ないだろ! 」


「えっ?わし霊体だったのか? 」


何今更すっとぼけてるんだよ!


「それじゃあ私は光さんのところに行きますから」

はこべさんは僕にお辞儀をした。


「はい。おやすみなさい」

僕もはこべさんにお辞儀した。


「はこべ~行ってしまうのか……!」


「また明日の朝来ますから」


~翌日~

はこべさんは僕が起きる前に来たようだ。

「おはようございます! たちばなさん」


「はこべさん。おはようございます! 」

霊体とはいえ……なんか……女性が僕の部屋にいるのはなんか変な感じがするな。


今日は青柳くんに話を聞きに行く日だ。

僕はスーツを着て、玄関を出ると高級車が止まっていた。

「橘様ですね? 青柳の使いでお迎えにあがりました」

執事みたいな人がドアを開けてくれた。

す、すごいお金持ちだ……僕は車に乗った……ふかふかだ!


「うわあ。こんなの乗ったことないのじゃ」

「これは一体なんでしょうか? 」

権蔵とはこべさんはすっかりはしゃいでいる。


~しばらくして~


「青柳邸に着きましたよ」


「まだ家が見えませんけど……」


「ここから青柳邸の敷地でございます。青柳様の本宅へはあと10分ほどかかります」

この山々や広大な敷地は全部青柳くんの庭!?


お金持ちだと思っていたけどここまでとは……。


「本宅に到着しました」

東京ドームと同じぐらいの大きさの家が目の前にあった。そして駐車場には高級車がずらりと並んでいた。

高級車だけでも何十億はするな。


執事さんが分厚い壁に手をかざすとドアになり自動で開いた。

「どうぞ。そこのタイルを踏んで動かないでください」

そして床のタイルを踏むとタイルが下から浮き上がってきて2階の客間前に運んでくれた。


「すごい……! 」

僕は驚いて思わず声に出していた。

権蔵達は驚きすぎて声も出ないようだ。


「いらっしゃい」

青柳くんはスーツ姿で椅子に座っていた。


あのスーツは有名ブランドのやつだ。何十万とするぞ。


「まあ、座って」

僕が座ると紅茶が3つ出された。


「あの……なぜ3つも? 」


「権蔵さんとはこべさんの分だよ! 」


青柳くんがそう言うと、僕はお守りを紅茶のそばに置いた。権蔵とはこべさんが不思議そうに紅茶を飲んでいる。

僕にとっては、ふたりの体の構造のが不思議なんだが。

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