回帰

 作ったプロットを「全部捨てる」。


 少しかっこつけた言い方をしてしまったが、当人の感覚としては「捨てるより他に方法がなかった」という方が正しいだろう。

 だって書けないんだから。


 僕は、自分がもっと器用な人間だと思っていた。

 今の流行りにすり寄り、文体も調整して軽くして、これぞライトノベルという一作を余裕で書けると思っていた。

 でも現実はそうじゃなかった。

 僕はラノベは書けない。

 それが現実。


 基本的に怠惰なのだと思う。

 怠惰であるが故に、自分が本当に面白い、楽しい、と思わなければちゃんと作品に向き合ったり、資料を集めるのにコストを掛けたりするのがどこかで面倒臭くなって放り出してしまうのだ。

 

 こうして僕は、長い時間を掛けて、またふりだしに戻ってきてしまった。

 そして僕が僕に問いかける。


 Q:これからどうする?

 

  ・小説を書く

  ・小悦を書かない


 ……なんて説明すればいいのだろう。


 僕にとって『竜斬の理』は最高傑作だ。

 竜斬を仕上げたことを僕の執筆人生の最高潮にしても良い、そう思えるぐらい心血は注いだ。竜斬を最後に筆を折るのは納得できる。

 それに正直、あの苦労をもう一回やるのは物凄くしんどい。


 でも、書きたい気持ちも強くある。

 カクヨムで書いて、一時期だけなろうでも転載して。PVは少なからず貰えた方なのだろう。

 ありがたいことに読んでくれる人がいる。

 星をくれた人が、レビューをくれた人がいる。

 自分の作品を読んで貰う喜びを知ってしまった身としては、もう一作やらせてくれという思いは消えてはくれない。それどころかまるでゾンビのように蘇り、昼夜問わず僕に襲いかかってくる。


 ――結局、書くしかないのだ。


 続きは次項で。




追記:久しぶりに☆を貰えてなんかもうめちゃくちゃ嬉しかったです。マイスターさん(いつもありがとう!)、∀zlさん感謝です!

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