こちらアミメ探偵事務所――見えない容疑者?!事件

てるてる

導入編①――犯行

 ――視界の端で、何かがゆっくりと傾いていく。

 「あっ」と思う間もなく、それはけたたましい音を立てて地面に落下した。ばらばらと細かい破片が足元に転がって広がる。もともとの形は分からないが、もはや原型を留めていないにちがいない。

 どうしたものか。惨状を見下ろして破壊の張本人はしばし考え込む。が、すぐに興味を無くして前方に向き直った。――自分にはやるべきことがあるのだ。こんなことにかまけている時間はない。

 それは足を踏み出す。破片を蹴りとばし、草原を横切りながら、再び目の前の建物を見上げた。ジャングルちほーの一角。背の高い山々の連なる山岳地帯のとある天辺。平たく拓けた台地にポツリと経営されているカフェ。アルパカカフェと呼ばれているそれに、それは消えていった。


 こうして草原は無人になった。あとにはバラバラの破片となった木像だけが取り残され、その原因を知る者は誰もおらず、目撃者もいない。

 空高く隔絶された空間、アルパカカフェで起こる悲劇の幕開けだった。

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