22話 スフランを目指して

優とミーシェがスフランを目指し、ロキア帝国から出て3日がたった。

「なぁミーシェ。あとどんぐらいだ?」

「今日一日歩けばつく距離よ。」

「そうか。もうひと頑張りだな…」

「うう〜。疲れた〜。」

「弱音を吐くな。こっちまで辛くなるだろ。」

「うう〜。」

あの後特に事件などは起きず、魔物にあったら倒して進むというのを繰り返してついにあとすこしという所まで来ることが出来た。

「着いたらまずは宿だな。そして勇者達の情報を集める。いいな?」

「うん。」

予定を話しながら進んでいると、近くで何かが争っているような怒号が聞こえた。

「ユウ。何かが戦ってる。」

「…ああ。聞こえる。あっちだな。」

声の聞こえた方向に行くと大きな馬車とそれを取り囲むように数人の男が立っていた。

「命を助けて欲しけりゃ金目のもん全部置いていきな!」

「とっととしろぉ!」

おお、テンプレでよくあるやつだ。てことは囲まれてるのは商人か、どっかのお嬢様ってとこか。

「ユウ。どうする?」

「どうするも何も俺は元人間だからな。助けないわけには行かないだろ。」

「ふふ。そう言うと思った。行こ?」

「ああ」



「やめてください!この中のものは全て大事な商品なんです!」

「知るかよ。とっとと置いてけよ。」

「死にてえのか?ああ?!」

そう言って盗賊の1人はナイフを突きつけた。

「…ひ!」

「ほら。とっととしろ。」

「…は、はい。」

「ハッ!物分りがいいじゃ…ヒュ…」

「ああ?どうし…うわぁ!お前…首が…ぐぁ…」

「どうした!お前ら!」

「わかんねぇ!敵襲だ!」

「あ?敵なんてどこにも…「よ!やってんなぁお前ら。」」

「いつの間…ぐわぁ!」

「なんだてめぇ!」

「よっと…あぶねえな…」

「てめぇ!」

ヒュン!首を一閃。

「あと1人だな…」

「ひっ、ひい…」

「おいおい逃げるなよ…まあいいか。…大丈夫ですか?」

目線を商人の男性に移す。

「…は、はい。危ないところを助けていただき本当にありがとうございました。」

「いえ。」

「私は旅の商人のスコットと申します。私はこの先のスフランで商売をしようと思い、やってきたのですがその道中あの盗賊に襲われまして…強いですね。あなたは。」

「そうですか。間に合ってよかった。…行くぞミーシェ。」

「あ、うん。…さよなら。」

「待ってください!」

「何か?」

「いえ、もしスフランに行かれるのでしたら、馬車に乗っていきませんか?そちらも早く着けますし、私もそちらの方が安心できるというか…」

「いいんですか?」

「もちろんです。」

「ありがとうございます。助かります。では、馬車の護衛は任せてください。」

「やった!楽できる!」

ミーシェ…そういうのは口にするんじゃない…

「ありがとうございます。では後ろにお乗り下さい。」

「わーい!」

「…はしゃぐな。恥ずかしい。」

「だって馬車って初めてだもん。」

「…そう言えば俺も初めてかも。」

「でしょ?」



「お二人はスフランに何しに行かれるんですか?」

スコットが訪ねてきた。

「旅の途中に少し寄るだけですよ。」

「そうなんですか…なんでも、明日ピルーク王国から勇者がやってくるそうですよ。」

「…へぇ。明日ですか…」

え?明日?早くね?いやこの場合は、速くね?か…

「1度見てみるといいかもしれませんね。」

商人か…宝玉のこととかなんか知ってるかもな。

「…そう言えば噂で聞いた話ですが…魔神の魂がスフラン共和国の城の地下に隠されてるらしいですね…」

「魔神の魂ですか…それは噂ではなくホントのことですよ…」

え?普通に教えてくれんの?

「この世界に住むものなら誰でも知っていることだと思いますが…」

あ、常識なのね…

「勇者も魔神の復活が近くなったから呼ばれたらしいですね…」

「そうなんですか…田舎育ちなもので情報には疎いんです。」

「そうですか…では着くまでは話でもしていきましょうか?」

「お願いします。」

「そうそう、ロキア帝国では宝玉が盗まれたらしいですよ。」

「…大丈夫なんですか?」

「どうなんでしょうね…なんでも世界最強を誇るロキア帝国騎士団が二人に全滅に追い込まれたとか。」

あれが世界最強?嘘だろ…

「あとピルーク王国では召喚した勇者のうちの一人が裏切ったらしいですよ。…まあ処刑にしたらしいですが…」

そんな風に広まってんのか。裏切ったのはどっちかって言うとあっちだと思うが…。

「へぇ。いろんなことが起きてるんですね…」

「最近はね…魔神か目覚めるっていう創造神のお告げをピルーク王国の王女が聞いたらしくてそれからは世界中がいたの?大騒ぎですよ…勇者召喚があったりしてね。それに魔神軍も集まってきているとか…」

「魔人軍?」

「はい。元々魔神の配下だった魔族たちですよ。なんでも魔神に完全に力を戻すには宝玉が必要らしくて…それを集めているらしいです。昨日ピルーク王国も襲われたようですが勇者達が撃退したようですね。」

あいつらも強くなってんだな。

「そんなこともあり、ロキア帝国の事件も魔神軍の仕業でしょうね。」

「色々とありがとうございます。」

「いえ。他にも分からないことがあったら聞いてください。」

「はいはーい。スコットさん。スフランにおすすめの観光スポットはありますか?」

おい、観光しに行くんじゃないぞ?

まあいいじゃん。

そんな感じの会話をアイコンタクトでする。

「観光地ですか…やはり城は綺麗ですよ。」

「綺麗なお城かぁ…住んでみたいなぁ。」

なんだこいつ…少女みたいなこといいやがって。

「見えましたよ。スフラン共和国です。」

「…おお…大きな城ですね…」

「国の1番の自慢らしいですよ。」

「…へぇー。それにしてもでかい。」

あの中から探すのか…

色々あったが優たちは勇者達よりも1日早く、スフランに到着した。

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