暗澹

暗澹たる自意識の迷路に閉じ込められる。さて、この主人公のように、どうしようもない孤独だとか劣等感だとか、そんな鬱々とした思考...と、幾ばくかの、小雨が降った程度の出来事に気を良くする経験があるだろうか。そんなひとは、たぶん少しは安心するし、諦めもすると思うのです。勝手な感想ではあるけれど、この作品にはそんなレビューも悪くはないのかもしれません。
重苦しいのに、ハッピーエンド。淡々と綴られる思考。緻密にとられたバランス。堅実だと思う。あくまで個人的な読了感ですが、広く誰かに勧めたい作品でした。