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「で、そのあとどうなったの?」

「彼女は完全に肉体から解放されるのよ」

「それは、具体的にはどのような状態?」

「ナードもデボチカも姉さんもルドヴィコも、ぜんぶ混ざった状態」

「つまり?」

「さあ? 興味ないわ」

「もう飽きちゃったの?」

「どうかしらね」

「最近よく眠れる?」

「このクマを見て、なお聞いてるの?」

「会話はしてる?」

「あなたとしてるじゃない」

「好きなものは?」

「たくさんあるわ」

「嫌いなものは?」

「それもたくさん」

「好きな季節は?」

「そんな会話はもうたくさんよ」

「さみしくない?」

「あなたがいるもの」

「その指輪、キュートだね。なんて宝石?」

「これは宝石よりもっと固い意志よ。彼の眼球。舐めると涙の味がするのよ」

「きっと素敵な味なんでしょうね」

「ところで、もう片方の目は?」

「月になったわ」

「その「彼」は?」

「ノーコメント」


「それで、話は戻るけれど、わたしの惑星まではあとどれぐらい?」

「あなたの寿命があと七十四回尽きた頃ぐらいかな」

「相も変わらず世界は広大ね」

「それは、どのような意味合いで?」

「あらゆる言語を尽くしても説明できないわ。それでいて、明日の朝には忘れているようなことよ」

「かなしい?」

「そうじゃないと言えば、嘘になるわね」

「人生はどうだった?」

「わるくなかった」

「今日も一日おつかれさま」

「ありがとう。たのしかったわ」


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