7 ……おなかすいた
薄い日光が私を照らす。
虚ろな意識の中、見なれたベットの中にいた。
ベットのそばに置いていたデジタル式の目覚まし時計に目を向ける。
時刻は午前十時。
……疲れてたんだな、私。
ついさっきまでここでないところでご飯を食べる夢を見ていた。
そこには半年前に死んだはずのあの人がいて、久々にご飯を一緒に食べた。
夢だったけど、その味は確かに私の舌の上に残っていて。
あの人の手の温もりが手の平に残っていて。
もう、二度と会えないと思っていたから……。
不意に私の視界がかすんだ。
しばらくぼんやりとして再び時計に目を向ける。
時刻は午後十一時。
「……おなかすいた」
私はポロッと独り言を呟き、大きく伸びをする。
「……っよっこいしょっと!」
ベットから立ち上がり台所へ向かう。
台所はつかわれていない様子で冷蔵庫の中はお茶以外何にも入ってない。
ゴミ箱にあるのはゼリーの容器だけだ。
そこまで見て最近の私の食生活が如何ほどのものであったか思い出す。
「……買い物いかなっくっちゃ」
お気に入りの黄緑色のワンピースに着替え、私は外に飛び出す。
強い日差しの外光は目がくらむ程に強く私を受け入れてくれた。
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