深夜のコンビニで始まって終わるストーカー引退劇、その真実とは?

深夜のコンビニでバイトしている黒澤は熟達したストーカーである。そして今のターゲットは、土曜日の0時にかならず店を訪れる木村和歌子、鈍い彼女はまるで黒澤の存在に気づかず、それゆえに彼はストーカー人生を謳歌していたのだが……。

この作品のなにがすごいかといえばもう「伏線で起爆するどんでん返しの美しさ」、これに尽きるわけなんですが、もうひとつ注目していただきたいのは主人公の有り様そのものです! 

和歌子さんの一挙一動に一喜一憂したり、ちょっとした思い込みで暴走したり。
ストーカーでさえなければ、それはもう一途で血の熱い恋する男なんですよ。

その人間力があるからこそ、その視界の狭さがどんでん返しで一気に晴れ、ついにストーカーを卒業することを誓う彼の姿になんとも言えないカタルシスを感じられるんですよね。キャラ力の重要性、ほんとに思い知ります。
短編作ですので、伏線を掘り起こしながら一気にオチまで読んでみてくださいませー。

(愛を讃える(?)4選/文=髙橋 剛)