祖父の遺した家で過ごす夏は、死の匂いがして、美しい。

原因不明の病に悩まされる涼弥は、療養のため、田舎に引っ越す。
涼弥自身も就学前は住んでいた家だが、祖父の死後は無人になっていた。

転居早々から、無人のはずの家で起きるできごと。
進行する、涼弥の体の不調。
田舎の、謎めいた信仰。
不穏な空気が漂っていて、きっと不幸なことが起きそうで、
先が気になってやめられないのに。

強い夏の日射しに照らされて、古い家で、
幼馴染の篤志と過ごす色鮮やかな日々は、
泣きたいくらいに美しい。

この『箱庭』を、ぜひみなさんも、最期まで見届けてください。