第5話 悩み

 クラスのこと、彼女のこと、そして自分のこと。帰り道に色々しゃべった。彼女は本当に高校生なのかという位に冷めていた。いや、中身は今どき女の子なのかも知れない。しかし、それはあまりにどうでもよく自分には興味のないものだった。

 話を聞いていくうちに自分との共通点が何個か見つかり、人生で初めてといえるほど他人と長く話した。

 しかし、自分が彼女の目のことを言ったとき少し彼女がうつむいた気がした。コンプレックスだったのか、だとしたら申し訳なかった。そんなことを思いながらしゃべりながら帰っていた。


 しゃべりながら歩いているともういつの間にか二手に分かれる道に差し掛かった。彼女はどちらに行くのだろうか。自分は左だが彼女は左か、右だろうか。

 「私、こっちだから。」と彼女は右を指さした。なるほど、分かれてしまうのか。それなら仕方ない。

 「あのさ、いや、、、なんにもない。また明日。」そう言って彼女は右の道へ体の先を向けた。

 「また明日。」軽く返事を返した。彼女はこちらに背を向け家路を辿っていった。

 彼女は何かを言いかけてやめた。何を言いたかったのだろうか。そんなことが自然に頭の中に溢れた。

 その後の帰り道で自分は彼女に恋を抱いているのではないか、と自分を疑った。そうは思いたくはないが何故かふと彼女の顔が浮かんでくる。

 そして、その一方で自分の心に大きな歪みが生まれたいるとは予想もしなかった。

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