3カ所目 二の腕

二の腕。

肩からひじまでの間の部分。

結構厄介なところが今日の性感帯だな・・・。


人が混雑して密集していると、意識せずにも触れあってしまう部分。

人前で、あんっ、などと女の声を出してしまっては、私の沽券に関わる・・・。


今日は出来るだけ人ごみを避け会社に向かわなければならない。

大事をとって歩いて行くことにした私だ。その道すがら・・・。


「うわぁぁぁぁあああん!!」

「・・・」


絵にかいたように子供が一人泣いている・・・。小学生一年生くらいか?

なるべく人に接したくはないが、ここで無視するわけにはいかないな・・・。


「どうした、少年」

「うわぁぁぁあああん!!」

「泣くだけでは分からないぞ、しっかり言うんだ」

「み、道に、迷ってぇ・・・」

「よし、よく言えたな」


その子はどうやらお母さんとはぐれてしまったようだ。携帯も持っていないみたいだし、ここは、近くの交番に届けるのが吉か。


「少年、近くの交番まで行くぞ。ついて来い」

「・・・うぅ・・・」

「・・・?どうした?」

「足、くじいちゃってぇ・・・」

「・・・む」


仕方ない、まだ子供だからな・・・。


「ほら、乗りな」


私は腰をかがめる。少年はちょっと戸惑いながら、私におぶられる。


「ありがとう、おねぇちゃん・・・」

「よし、しっかり掴まって・・・んあっ♡」

「・・・え、お、お姉ちゃん・・・?」

「あ、いや、やっぱりそこまでしっかり掴まないでくれるか・・・?」

「へ・・・?」


し、しまった、油断した・・・。

確かにおんぶをするとき、普通は二の腕を掴むよな・・・。

少年の小さな手は、私の性感帯二の腕をがっちりと握っていた。


「・・・んっ・・・」

「おねぇちゃん・・・?どうしたの・・・?」

「い、いやいや、何でもない・・・」


二の腕をじかに・・・。私の場合、性感帯の感度は常人の何倍にもなってしまうから・・・。持続的に触られているだけで、ずっと感じて・・・。


「・・・はっ、はっ・・・」

「おねぇちゃん、大丈夫・・・?さっきからずっと腕がぷるぷるしてるけど・・・」

「き、気のっ・・・せいだ・・・」


少年は意図していないだろうが・・・、患部を握ったり、緩めたり、握ったり、緩めたり・・・。それが実に絶妙で・・・。き、気持ち・・・いい・・・。


だが!!


私とてオトナの女!!少年ショタにイカされるわけには・・・!!


-------------


「ありがとうございます!!連れてきてくださって・・・!」

「ありがとう、おねぇちゃん!!」


交番に着くと、すぐにお母さんは見つかった。無事に再会できて良かった。


「本当にすいませんでした・・・。ご迷惑をかけて・・・」

「いや、大したことじゃない」

「そんなにびっしょりと汗をかいて・・・。暑い中ありがとうございます」

「あ、ああ・・・」


この暑さだと、汗の原因が他にあるとは思われまい・・・。

少しだけ、暑い日にも感謝する私だった。


《つづく》

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る