第4話 - ヨノアの怒り

────────ヨノアの大浴場から数キロ先の山の洞窟で…


「うーん…ここは…?」

「やっと気が付いたか」

「ユキ姉、ここはどこ…?」

「見ての通り牢屋だ。お前がヨノアの胸の話をした所で催眠ガスで眠らされたんだよ。私達」


ユウが見回すと、そこは殺風景な部屋だった。

部屋にはベッドと机しかない。


「僕もいるよ」

「ふたばさん!」


部屋の端からふたばが転がってきた。


「生首がしゃべった!?」

「生首とは失礼な、僕はもとからこうだよ、ユキさん。」

「冗談だ。私達会ったことあるだろ。」

「どうやらここは洞窟の中らしい」

「わかるのか?」

「僕の能力、≪半径探索レディアスサーチ≫だよ。周りの地形と生命反応を感知することができる」


創造者にはそれぞれ能力がある。ふたばは≪半径探索レディアスサーチ≫、ユウは≪狼狂リカントロピー≫など、創造者にそれぞれ違う能力がついている。


「所で、何で僕たちが捕まえられたのか…」

「さあな、それでヨノ姉はどこだ?」


ユキが部屋を見回す。牢屋にはもう何人か人がいたが、その中にヨノアの姿はない。

その時、廊下の扉が開いた。


「よぉ、お前たち。気分はどうだ?」

「!!」


そこにいたのは一人の男。ユキはこの男に見覚えがあった。


「……お前……が、何で……ここに…?死んだ……いや、殺されたはずでは…?」

「ああ、殺されかけたよ。お前の姉によってな。これは復讐なんだ。俺をこんなにしたあいつへの。」


男の身体は傷だらけで、一部が機械になっていた。


「あいつは望んでああなったわけじゃ…」

「知るか。あいつの事情がどうであれ、これが結果だ。」


男の身体から機械音が響く。


「お前たちには、あいつの目の前で────────死んでもらう」

「おいちょっと待ちな。俺らあんたの事知らないんだよ。じゃけぇ何が起こっとんか教えてほしい。お前の言う≪あいつ≫は誰だ?」


ユウが牢屋の格子越しに威圧する。

男がイラついた様子で答える。


「わかるだろ?てめぇらの『お友達』、ヨノアだよ。」

「はぁ?頭湧いてんか?ヨノにゃんが生き物傷つけたとこ見たことねぇぞ?」


「『見たことが無い』だけでしょ?」


ユキがおかもつに言った。


「……どういうことだよ?あいつの性格からして、生き物に優しくするイメージがあるんだが。」

「あなたはヨノ姉の裏の顔を知らないでしょ?あいつ、いろいろ混ざってるんだよ。」


ユキが羽を広げると、見にくい場所に傷が居つくかあった。


「これは……」

「寝ぼけて羽の上に寝られた。」

「関係ねぇじゃねーかよ」


その時、ユウはユキが少し震えているのに気づいた。


「……ユキ姉?どうしたの震えて。寒いの?」

「えっいやっ震えてないよ!?」


明らかに何かを怖がっているようだ。


その時、遠くで地響きがした。


「!?」

「おっと、あいつのお出ましだ。」


地響きが近づいてくる……


「な、何なんだよ!?」


その時──地響きがピタリと止んだ。

廊下の向こうに────彼女はいた。

ヨノアが立っていた。


「よう、ヨノア。俺の事覚えているか?」

「ジャック……やはりてめえか。」

「ああ、そうだ。よく見てろ、お前の友達を一人ずつ殺してやるよ」

「おい!」


おかもつが牢屋の中からヘラで攻撃した。


「おっと」

「ふざけるな!ヨノにゃんがそこで何もせずに立ってるだけだと思っているのか!?」

「そう思うだろ、だが、この山にはバリアがある。破壊するのにはかなりのエネルギーが必要なはずだ。」


たしかにヨノアは立っているのがやっとのようだ。

ふらふらしていて、今にも倒れそうだ。


「いい気味だな。それじゃあ、殺りはじめるか。」


ジャックが短剣を取り出し、ユウに近づく。


「まずはお前からだ。≪拘束リストラント≫、お前の動きを封じた。これが俺の能力だ」

「!!」


ジャックが短剣を振りかざし、

ユウに──────













突き刺せなかった。

ジャックの腕が無くなっていた。

紅い液体が部屋を染める。


「──へ?」


その場の誰もが唖然とした。

ヨノアとユキ以外。

「…きャはハはは♪」

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