第3話 『展開術式と設置術式について』

お、今日もサボらずにきたな、偉いぞ。


今日は『展開術式と設置術式について』を教えていく。


前回と前々回で、簡単に使用できる魔術の素質と、誰でも魔術の使用が可能になるアイテムのルーンについて勉強したな。


そもそも覚えてない奴はアーカイブで確認しろ。


まず、そもそもとして術式について説明しよう。


最初の講義で魔術とは魔力がもたらす影響だけでなく、変換する工程も含めたものだと教えたな。


その変換する工程のことだ。


おっと待て、素質やルーンとおんなじだと言いたいのだろう?


分かる。


その気持ちは大いに分かる。


ルーンとはたしかに同じだ。


なぜならルーンに刻まれている文字が意味しているものを術式と呼んでいたからな。


だが、素質とは区別してくれ。


術式に素質が含まれているわけでもなく、術式は術式、素質は素質だ。


いいか?混同するなよ。


術式っていうのはあくまでも、素質によって変換された後の魔力を加工する工程のことなんだ。


いいな。わからなかったらとにかく素質と術式は別のものだってことだけ思っておけばいい。


術式には様々な種類が存在し、図形や文字だけでなく呪文の詠唱が必要な場合もある。


では、主題に入る。


前回までに教えた物は全て今日教える展開術式というものに含まれる。


展開術式とは、使用する前にあらかじめ設定しておいた術式に、魔力を注ぎ込んで即座に効果を発揮させる魔術だ。


略式とも呼ばれ、宙に術式を展開させて使う技術が発展したことによって、展開術式と呼ばれるようになった。


準備さえしておけば手軽に魔術が使用でき、見栄えもいいことから現代魔術師のほとんどはこれを使っている。


学科で教えるのは全てこれだ。


そして、準備にも時間がかかり、手間も多く魔力も必要な古典的魔術式、それが設置術式だ。


だが、全ての魔術の基礎であり基本だ。


教わることはほとんどない上、便利の波に押されて使える人も数少なくなってきた。


私は設置術式での功績が認められて魔術師になったのだ。


なんだ?そんなに驚くことか?


確かに私が魔術師であるという旨の発言はしていないが……。


予想はついていただろう?


なぜこれを私が研究していたかは、簡単だ。


素質が発見される前から使われていた技術だから素質がなくてもできた。


それに尽きる。


展開術式のように手軽ではないしコストも時間もかかるが、決して悪いことばかりではない。


先に言った通り、素質は何もいらないし、基本的に強力なものが多い。


範囲も大きく出来るし、最終的な変換効率は展開術式を上回る。


これまた卵が先か鶏が先な話をするが、ルーンの力を大きくするために、この設置術式は作られたんだよ。


お、意味わかんねーって顔してんな?


そうだろうそうだろう。


実は、魔術の一番最初ってコンパクトにまとめられたルーンの文字からなんだよな。


意味を持ったそれらの文字を並べて魔力を通したことによって魔術は生まれた。


いいかな?


そして、その効果をさらに高めるために、文字だけでなく、別の環境的要因や並べた物に意味を持たせて、大きな形にしていったのが設置術式なんだよ。


ちなみに設置術式、どれくらい前から行われていたかというと、今確認されている最も古い記録では前人類時代にはすでに使用されていたことがわかっている。


え?前人類時代がわからん?


じゃあ、また今度説明してやる。


今回の授業はここまでとする。


次回は『魔術とオーラについて』を説明してやろう。


ハンターを目指してる奴には耳寄りなことも話してやるから、こぞって参加しろよ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る