醜い人間の子

幼い頃から、母からブサイクと言われ続けていた。


「ほんとにあんたは何を着させても似合わないわね」


「ほんと、あんたはブサイクなんだから」


母は半分冗談のつもりで言っていたのかもしれないが、可愛いと言われたことは一度もなかった。

だから、自分をずっとブサイクだと思っていた。


自分に全く自信がなく、何をしてもダメなんだと思っていた。




顔が悪いなら、せめて愛嬌のある女になろうと努力した。

家族のおかげで、人の顔色を伺う事は得意だった。

誰にでもニコニコと接し、楽しげに話した。



「あなたって、悩み無さそうだね」


と、よく言われる様になった。




そんなわけがないだろうが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る