第5話 2つの気がかり ①
下の子は、妊娠37週で低体重で生まれました。
初めてにしては安産と言われた上の子と違い、下の子の産前産後はトラブルの連続でした。
なかなか授からなかった第2子は、卵管の検査をして、排卵誘発剤を何度も使い、やっとお腹に来てくれました。
妊娠が分かった時、上の子は幼稚園児。
ひどい悪阻で歩く事もやっとでしたが、幼稚園の送り迎え等もあり、じっと寝ていられません。
吐き気で7kg減った体で、なんとか毎日をこなしていました。
やっと悪阻が明けた頃には、上の子は夏休みに入りました。
幼児と家でずっと2人。遊びに行きたい上の子。ゆっくり過ごすのは無理でした。
なるべくお腹に負担がかからないようにタクシーで出掛けたりしていましたが、切迫早産と診断され自宅安静に。
安静生活の甲斐なく、妊娠30週で破水してしまいました。
出産予定だった病院は35週の赤ちゃんからしか診られないので、NICU(新生児集中治療室)のある病院に母体搬送しますと言われ、あっという間に救急隊が到着。
訳が分からないまま、夫と一緒に救急車に乗せられ、産科のICUに入院しました。
まさかICUに入る事になるとは…
搬送先の病院では、
破水しているので、いつ出産になってもおかしくない事。
しかしまだ30週なので、せめてあと2週間、できればあと4週間はお腹に入れておきたい事。
羊水がこれ以上出ていかないよう、子宮の収縮を止める点滴を24時間する事。
加えて、羊水が菌感染を起こさないよう、抗生物質も使う事。
羊水の状態が悪くなれば、陣痛を誘発させてすぐ出産しないといけない事。
すぐ出産になる場合に備え、まだ完成していない赤ちゃんの肺を少しでも成熟させるため、成長ホルモンであるステロイドを注射する事。
など一気に説明され、頭の中は大混乱でしたが、どうかお腹の子が無事に生まれますように。それしかありませんでした。
様々な薬を使う事に不安もありましたが、命には代えられません。
24時間点滴につながれたままの、長い入院生活。
羊水の状態は悪化する事なく、無事に早産と言われる36週をクリアしましたが、37週に入るともう切迫早産の治療も破水の治療もできません。
生んでもOKの週数なので。
むしろ早く出しましょうとせっつかれ、陣痛を誘発させて出産する事になりました。
誘発剤を点滴して30分、赤ちゃんの心拍が下がってしまい、緊急帝王切開となりました。
ベッドで寝たまま同意書を書き、オペ室に連れて行かれ、本当に訳が分からないまま、下の子は誕生しました。
そんな風に、トラブルだらけの出産、様々な薬の使用、心拍が下がって危うかった事…
命は助かったけど、もしかして何らかの障害が残るのでは。
そんな不安も抱えたままの育児スタートでした。
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