第2話 DQって何?
DQという言葉は、下の子が発達検査を受ける事になって初めて知りました。
DQ (Developmental Quotient)=発達指数。
知能指数であるIQ(Intelligence Quotient)は馴染みがありましたが、発達指数?
保健師さんから、乳幼児の場合、知能検査をするのは難しいので、発達具合を見て検査するんですよと説明を受けました。
検査をすると何が得意で何が苦手か分かるので、今後の役に立つから…というアドバイスもあり、申し込む事にしました。
通常2~3ヶ月待ちのところ、運よく2週間後にキャンセルで空きがあり、2歳10ヶ月、初めての発達検査に臨みました。
下の子が受けたのは「新版K式発達検査」という、0歳児から受けられる発達検査でした。
検査当日は、13時からの予約でした。
お昼寝の習慣のある子ならいちばん機嫌の悪くなる時間帯に、何でわざわざ幼児の検査を設定するのかな…とぼんやり思いながら保健所に向かいました。
検査を担当してくれた心理士さんは、面倒見の良いおばちゃんといった雰囲気の方で、下の子に笑顔で話しかけてくれました。
「さぁここの椅子に座って。一緒に遊ぼうか?積み木するから真似っこして~」
言葉は遅いけれど人なつっこい下の子は、遊んでくれる!と大喜びで椅子によじ登り、心理士さんと積み木を始めました。
私は側に座るよう言われたので、間近で様子を見ていました。
積み木を同じ形に積むのは難しいようで、何度か失敗しながら最終的には完成できた姿を見て
(やった!諦めるかなと思ったけど、できるじゃん)
心の中でほっとしました。
その後も検査は進み、私は側で見ながら
(あぁ…全然できてない)
(うわ~後もうちょっとなのに!)
(え?こんなの知ってたんだ)
様々な気持ちが入り乱れました。
中でも、トランプの神経衰弱の要領で行う検査があり、何度やってもニコニコして完璧に答える姿を見た時は、背筋がゾクッとしました。
この子、見た絵を一瞬で記憶してる…
一通り検査が終わり、心理士さんが急に
「お母さん、この子ジャンプできる?」
え?ジャンプ?いつも上の子とドッタンバッタン遊んでるから、できるよなぁと思いながら、ピョーンってして~と下の子を促してみました。
得意気な顔で跳ねる下の子を見て、心理士さんは
「ジャンプは両足が同時に地面から離れてないと、できたとカウントできないんです。これはジャンプではなく…足踏みですね」
そうだったんだ…
検査用紙に小さくつぶやきながら記入し終えた心理士さんは
「体幹が弱いですね、ジャンプできなかったし、歩く時もフラフラしてる」
「椅子に座る時も、よじ登る形で、足で踏ん張って上れてなかった。1才前半の上り方ですね」
「積み木も最終的には積めたけど、平均的な 2歳10ヶ月なら、崩さないようバランスとって調整できる。この子はまだ難しいね」
等々、運動面に関する話を次々に始めました。
「言葉の遅れで検査に来たのですが、どうして運動の話ばかりなんでしょうか?」
たまらず質問してみると
「言葉の発達には、口の動きの発達が欠かせないんですよ。口も筋肉で動かすからね。この子は物の名前なんかはよく理解できてるけど、運動の遅れが言葉を妨げている。運動発達が、いちばんの課題です」
認知面はそこまで遅れがないけど、運動面の数値がかなり低いのと、言葉がはっきり出てない事から、全体的に1年くらい発達が遅れてると考えてもらえたら。そう言われました。
後日、書面で受け取った検査結果の紙には、数値ではっきり示されていました。
DQ66。
平均的なDQが100。
DQが70を割ると、知的障害の範疇に入る。
下の子に、知的障害があると分かった瞬間でした。
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