退役勇者さんは異世界でゆったりまったり暮らしたい

しろねこ

ぷろろーぐ feat.はるさめ

Prolog

 朝起きて街の平和を守って寝る。そして、死んでいく。

 それが僕の運命だと思っていた。

 毎朝早起きして、パトロールやなんやかんや。

 慌ただしい毎日だった。

 しかし、まさか僕にまったりとした生活が待っていようとは。


 それは数ヶ月前のこと。

 いつものように僕のもとにモンスターの討伐依頼が舞い込んできた。

 街の近くに大量のゴブリンが出没して街を区切っている壁が崩れそうになっているのだとか。

 数年ぶりだったから、特別テンションが上がっていた。


 僕はそいつを無事倒したのだが、そのあと今日まで一切モンスターが出ていない。

 街中ではモンスターが枯渇したなどいろいろ噂された。

 そこで、市長からモンスター討伐ギルドの解散が命じられた。

 どうやら、もうモンスターが出ないのにギルドに金は払ってられん!ということだそうだ。

 当然僕も所属していたギルドから抜けた。

 後日、僕は市長に呼ばれ、一番モンスターを討伐したということで、表彰された。

 そして、街の人からは勇者呼ばわりされている。


 というのが、僕が勇者をやめた簡単な説明だ。

 今は街角でパン屋兼探偵事務所をやっている。

 ちょくちょくパンを買いに来てくれる人はいるものの、まだ探偵事務所が機能したことは無い。

「ああ、お金欲しいなぁ……」

 僕は呟いた。

 客があまりにも少ないため、ほぼニートのような生活になってしまっている。

 レジに置いている椅子に座ってただぼーっとする。

 もしかしたらニートよりも何もしていないかもしれない。

 今日もまだ客は来ていない。

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