そして、少女は海になる。3人の愛が絡み合う一夏の物語

女性ならではの繊細な感性によって書かれた傑作だと思います。

「自分を薄めたかった。私にはどうやったら友達ができるのかわからない」。18歳の遥果は、人の悪意ある視線に晒されることを疎み、教室では透明になろうとしている。

「いつも1人でいる女。それが私」
「次はもっと遠いところに行こう。新しい自分になれるかも知れない」

そんな遥果には、放課後、別の顔がある。憧れの女性シンガー「夕映」のライブに通ううちに知り合った人気カメラマンの「奏多」。遥果はモデルとして奏多に写真を撮られ、また、抱かれるようになる。彼が夕映の恋人であることを知りながら……。

全体を通して、性的な描写がたくさん出てくる作品ですが、そこに(良い意味で)いやらしさがなく、読んでいて、遥果の哀しさ、切なさが胸に迫ってくる感じでした。

奏多に、夕映に、人形のように愛される遥果。

心と身体、食べることと生きること、愛すること、愛されること。
短い物語の中で、たくさんのことを考えさせられる作品でもありました。

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