3-2 チーム名

次の日、本格的な訓練は行わず、騎士団の建物および宿舎等施設の見学を行うことになった。

その際に、僕たちは正式に選抜大会への申請が通ったことを人事から教えてもらった。チーム名が必要と言われたので、適当に【チーム1年生】でいいですって回答をしようとしたところ、女子たちに猛烈に反対された。

そしてその夜、僕の部屋に集合となった。


「いや~この部屋広くていいわね。」

「お父様にお願いしていてよかったですわ。」

「さすがシャーロットさんですね。」


やっぱりこいつらの仕業か。ここを最初からたまり場にするつもりだったな!


「それにしても、私たちの部屋狭くて、なにも無くて困ってしまいますわ。」

「君たちの部屋はそんなに狭いの?」

「この部屋と同じくらいよ。でも私の部屋と考えると狭いのよ。」

「そうですわね。私も同じです。」

「忍者道具が入りきれませんでした。」


こいつら、本気で騎士になる気があるのだろうか。


「それはそうとして、名前を決めましょう。」

「名前なんてどうでもいいじゃん。」

「ダメに決まっているでしょ!女子はそういうのが気になりますのよ。それに、私たちはこれから伝説の騎士になるのよ。その時を考えると、変な名前で伝説の名に傷が付きますわ!」


その心配の前に、選抜戦に勝つ戦略を考えたほうが・・・


「じゃあ、チームプリンセスはどう?」

「それじゃバレちゃうわ!」


そもそも、優遇や態度や噂等でうすうすバレているので、隠す必要は無いのだが、本人たちは気づいていない。


「私たちは騎士になるために、貴族ではなく、一人の訓練生として過ごしたいの。みんなと同じ目線で話したいの。」


よくわからんが、こだわりのようだ。


「では、チーム名は【キューティナイト】にしませんか?」

「あ、それいいわね。カワイイし。」

「私も賛成です。」

「僕がいるのにキューティは変なのでは?」

「あなた、意見がありますの?」

「ありません。」


チーム名は決定した。僕の意向は一切入っていない。


「では。名前も決まったことだし、戦略を立てますか。」


そう言うと


「今日はこれからお風呂に入って睡眠が必要なので、解散しましょ。」

「そうね、明日から開始ね。」

「了解!」


そう言って部屋から出て行った。僕の話は完全にスルーされた。は~疲れる。


そして次の日、ついに訓練生の生活が始まった。ここでの3年間の生活と訓練及び教養を行い、最終試験に合格すると、晴れて騎士団員になれる。

だだし、必ず騎士団員になる必要はなく、冒険者になっても良い。その場合でも、騎士団訓練卒業の証の【ウロボロスバッチ】がもらえるため、ギルドで優遇な扱いをしてもらえる。

自分もカジカの村でカウンターにいたとき、たまにそのバッチをつけている人が来ていたのだが、その人たちには優先でクエストを回してもらったりしていた。

ちなみにこの国の騎士団は、武闘騎士と魔法騎士を分けて訓練や教育をすることは無く、合同で行う事がモットーだ。実際の任務や戦闘ではお互いにフォローしあうことで、強力なパーティーになれるという考え方だ。


初日の訓練の後、名前が決まったということを人事の方に伝えた。名前を聞いて、変な顔をされたが、僕は気にしないふりをした。


人事から新しい情報が入った。


・今年の参加チームは16チーム。

3年生:10チーム

2年生:5チーム

1年生:我々の1チーム

・トーナメント方式

・1チーム最大4人。


ただし、試合に同時に出れるのは最大3人まで。さらに、決勝を含めても、同じ人の組み合わせは1度しか使えない。

これらルールは、毎年変わるそうで、それを決めるのが人事課の楽しみらしい。


因みに、三年生は毎年全員参加するらしい。まあ、三年生にもなると、自分の実力を見せたくなるのかな?


僕たちは、代表戦に出るということで、代表戦が終わるまでは闘技場を優先的に使ってもよいと言われた。

ただ、まだ一年生ということと、言ってはいないが王女達であることがバレているため、練習相手になってくれる人がいない。(彼女たちは、扱いづらい、おてんば貴族と思われている)

よって、僕は王都の外で、魔獣たちと戦うことで代表戦の練習になるかと考え、王都の外での練習をさせてもらえるよう人事課に話をした。


行ける場所を限定することで、監視なしでの了承を得た。

ちなみに雑談の中で、昨日夜、人事課の人たちで街中の飲み屋で宴会があったらしく、数人が町人と朝帰りして疲れたとか言っていた。

ぶっちゃけ、僕の提案はケガしなければどうでもいいみたいな感じだった。

だいじょうぶか?おい!


そしていつものように、僕の部屋に集合する。


「今日もいろいろあったけど、まずは代表戦での勝利を目指すことを最優先で進めよう。許可も取れたので、さっそく練習をするために王都の外に行きますか。」

「そうね、絶対勝たないと。明日から気合い入れて頑張るわ!」

「絶対に負けられないね。明日かがらばるぞ!!」

「みんな。明日もよろしくね!」


そう言って、僕の部屋からみんな出て行った。


結局、今日ははやらんのかい!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る