第16話妖精の咆哮

・小話・

第11話で出てきた、能力の属性ついて詳しく説明します。


能力には必ず<属性>というものが存在します。火は水に弱く、草に強いというように、それぞれ得意不得意があります。


火は水に弱く、草に強い。

水は草に弱く、火に強い。

草は火に弱く、水に強い。

風は氷に弱く、地に強い。

地は風に弱く、氷に強い。

氷は地に弱く、風に強い。

光と闇も相互に強い。


能力には「火」「水」「草」「風」「地」「氷」「光」「闇」の八大属性が存在します。そして能力一つ一つの属性はこの八大属性から枝分かれしている。

例えば火炎の業火は火から、由紀の

吹雪は風から枝分かれしている。


どれだけ枝分かれしても八大属性の得意不得意は変わらない。


今回の小話はここまで本編をお楽しみください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「きゃああああ〜」


かん高い悲鳴は当たりにいた鳥達を羽ばたかせた。


妖精のベット


[妖精のベット(ようせいのべっと)水でベットを作る。低反発で水温を変えることで寝やすい温度に調節可能。安眠には自信あり。]


柔らかい水のベットは雫の体を包み込んだ。

雫は何度かバウンドした後起き上がった。妖精のベットを消した後ぶつぶつと独り言を言いながら、気の赴く方向に歩いていった。


そしてすこし歩いた。

雫は独り言に疲れたのか、意味もなく

ウンディーネを呼び出し、砂糖食べる?などどうでもいい質問を投げかけていた。ウンディーネはそれを落ち着いた声で的確に返していった。


少しするとウンディーネは質問に飽きたのか、とんでもない事を言い出した。


「そなた、最近おかしいぞ。疾風の上で移動してる時もやけに火炎以外と話していて、火炎に話しかけると心拍数が妙に急上昇する。まさか火炎に恋しとるな。」


唐突に突き付けられた鋭い言葉に雫は驚きを隠せず、慌てて顔を赤くしながら答えた。


「そ、そ、そんな事ないよ。

ててて、てかなんで心拍数とかわかるの?」


慌てた雫を見てウンディーネは、自分の考えたを確信した。しかしその事は顔に出さず、落ち着いて答えた。


「分かるに決まっておろう。

そなたと私は一心同体。私を出してないから気づかないとでも思ったのか?」


そんなコイバナをしていると、知らない女性が話しかけて来た。


「いいね〜コイバナ。私もそんな時期があったなー。」


謎の思いで話しに雫もウンディーネも戸惑う。


「何ですか?おばさん?」


雫は謎の女性に当たり前の質問をしたのに、四十代の少し老け気味で濃いめのメイクの顔が、まばたきするより早く鬼の形相に変わった。


「おばさん?火炎のやつを狙うつもりなのが、まさか予定変更とはね。お姉さんと呼ばなかった事を後悔させてやるわ。」


眉間にぐっとシワがより、目元がピクピクしている。

と、足元から大きさ90cm程の焦茶色の岩が2つ出てきた。

その岩を飛ばして来た。


!!

驚きにより少し反応が遅れたものの、

<妖精の目くばせ>で確実に割っていく。


それから何発も何発も飛ばしてくるものも、全て無惨に砕け散っていく。

勝てないと分かっているのに、何度も何度も岩を飛ばしてくる。

雫はその行動に流石に不思議に思った。と、同じ思考に至ったのか、急にウンディーネが出てきた。


「あやつ何か考えているかもしれないぞ、臨機応変に対応できる様準備をしておけ。」


相手を睨む様に、上から目線で言われた。その言葉には何か焦りのようなものを感じた。


「うん。わかってる何か準備をしておく。」


短く会話を済まし、戦いに意識を向けた。不意に視界に散らばった岩の破片が入った。


「ふう。これでいい量かな。」


女は不敵にそう言って笑った。

雫はそう言われて、辺りに視線を巡らせた。武器になる様になるものはない。


!!

さっきまで足元にあった岩の破片がない⁉目を相手に向けると、さっきまで動く事のない岩の破片が、女性の周りで浮いている!


女は雫の驚きに気付いたのか、不敵な笑い顔をもっと笑わせた。


「なぜ!岩の破片が浮いてるの?って思っているでしょ。私はまだ岩を作って飛ばす能力とは言ってないよ。」


女の笑い顔は余裕を醸し出していた。


「私の能力は岩を動かすだけ。さっきまでの岩は地中から取り出して来た岩だよ。」


女は勝てると言わんばかりの余裕で笑っている。

恐ろしいほどの、岩の破片の量。

70〜90程の岩の破片がふわふわ浮いている。

それを女は勝利の笑みで雫を睨んだ。

そして恐ろしい程の岩の破片を一斉に

飛ばしてきた。


雫は飛ばしてくる岩の破片にゾッときたが、ウンディーネが準備をしておけと言われた時、こういう多量技を警戒していたため、対応には困らなかった。


妖精達のお遊戯会


[妖精達のお遊戯会(ようせいたちのおゆうぎかい)

妖精の目くばせで使う水の弾丸を

200発一気に放つ。]


倍近くの水の球が岩の破片を壊していった。雫はあくまでも攻撃による攻撃をしたわけではなく、防御による攻撃をした。


「ごはっ!!」


はいの中の空気を全て出す様な声。

雫は腹部に大きさ130cm程の大きな岩が当たっていた。

ここで雫は笑顔の意味を悟った。

さっきまでの岩の破片は拡散のためにやっていて、仕留めるための技はさっきの大きな岩。


雫の口から血が少し出ている。

しかし雫は痛みを無視した。

次の一発にかけたのだ。


「妖精の咆哮」


[妖精の咆哮(ようせいのほうこう)両手から大きな水柱を出す技。威力は強大で普通では防ぐ事すらできない]


思いっきり両手を前に出した。

技名をできる限り大きな声で叫んだ。

放たれた大型の水柱は水龍のごとく、相手に向かった。

周りに止まっていた鳥達は一斉に羽ばたいて、飛んで行った。


「妖精の涙」


雫は治癒の雨で自分を回復させつつ

火炎達を探した。

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