グラス・スマッシュ

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

001  プロローグ

 五月下旬、梅雨も近づいてきた頃、曇り空で覆われている。駅から高校までの通学路は、水たまりがたくさんできていた。登校時間に間に合うには始発の電車に乗らなければならない。朝は非常に寒く、スマホの画面を確認すると、時刻は午前六時半を回っていた。空はまだ、夜のように薄暗い。息を吐くと、白い煙がハッキリと見える。駐輪所には他の高校の自転車や不法投棄されている自転車、原付バイクなどが百五十台ほど並んでいる。自分の自転車を確認すると、ロックを解除し、自転車に乗る。ライトを点灯しながら、交通機関が多い所をゆっくりと漕いだ。小さな橋を二回渡り、桜が散って葉っぱが出だした桜の木近くの堤防を自転車で走ると、山の上に高校が見えてきた。ようやく、目の前まで来るとそこからは約百メートルの長い、長い、急斜四十五度の坂を歩きながら自転車を押して行かなければならない。

 まだ、生徒が登校する時間には早すぎる。

 坂を登りきると、目の前に大きな校舎が見えた。校門の看板を見ると、『元気よく挨拶をしましょう』と、小学生のスローガンみたいな事が書かれてある。

 ————県立桜坂高校

 山の斜面には『自律 敬愛 創造』と大きく掲げてある。

 駐輪場に自転車を止めようとすると、丁度、雨が降ってきた。冷たい雨がぱらつき、やがて、本降りとなっていく。駐輪所から玄関まで約十五メートルある。この短い距離を陸上選手並みのスタートダッシュで駆け込んだ。

 靴を急いで脱いで、青色のトイレ用スリッパに履き替える。中央校舎の一階は一年生のフロアとなっている。一組から五組まで普通科、六組がフロンティア科と区別されている。東側の通路を歩くと、女子トイレの横に三組の教室がすぐに見えてくる。教室内はまだ、薄暗く電気が点いていない。

 明かりをつけると、勉強机が三十台程きれいに並べてあった。窓側の一番後ろの席に教材を入れたバックを置くと、学ランを脱いだ。

 窓の外を見ると、雨が降りやまない。インターハイ予選を控えた選手にとっては最悪な天気だ。この雨は午後になっても降りやまない予報となっている。今後一週間で晴れる日は良くて、三日と言われている。椅子に座ると、バックの中から筆箱とプリントファイルを取り出して、昨日出された数学の課題を解き始めた。

 朝課外まで約一時間、十分に時間に余裕がある。それに今日の朝課外は教師が出張のため自習となっているそれを加えれば十分に課題の提出期限まで有余が与えられた。

 ————そして、時間はゆっくりと過ぎていくのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る