夢か恋、どっちですか?

@summerbee

第1話 必然

今日に限って朝のうちから外に出たかったこと、

有田さんが店に呼んでくれたこと、

全ては偶然じゃなく、必然だったのかもしれない。


彼女は、また自分の前に現れた。


前に現れた、という表現は間違っているのかもしれない。


だって、まだ彼女を前からちゃんと見たことがないから。


でも、それが、ちゃんと同じ横顔だって、わかる。


目で見て頭で反応するんじゃなく、心が勝手に反応する。


こういうのは、どう説明すれがいいのか、よくわからない。


自分の言葉でも表現できないけど、

彼女のことをずっと見ていたくて、

もっと知りたくて、自分のことも知ってほしい。


そんな感じ。


もし笑顔を向けられたら、

きっと目を背けてしまうんだろう。


心が多分、潰れそうになる。



風になびくまっすぐな髪、


ゆるくカーブしたまつ毛に、


優しさが篭った眼差し、


すっとした薄ピンク色の口。




愛しい、


そういうのって、

もっとお互いのことを知ってからじゃないと、

使っちゃダメなんでしょ?


何も知らないのに、

ずっと頭の隅に、君の存在があって、

いつかまたどこかで現れるかもしれないって、

街を行き交う人の中を、なんとなく探してたのかもしれない。


こんなに人がたくさんいる街なのに、

いつかどこかで、きっとまた会えるって思ってた。


どうしてかは、わからない。


全ては、偶然には起こらないから。


全ての出来事には、いつも意味を持っているから。


そんなこと言ったら、クレイジーですか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る