綿雨さんは甘すぎる

プル・メープル

綿雨さんと優一

「ゆうくん、起きて」

優しく、柔らかな声で目を覚ました優一ゆういち

目を開けると、のぞき込むようにした女の顔が見えた。

小さな顔に大きくてクリっとした愛らしい瞳、小さな鼻にキュッとした唇。

まさに美人の代名詞である。

彼女は綿雨 美鈴。

年齢は不詳(優一も知らない)。

身長は優一と同じくらいで、胸は推定Eカップ。

「ほら、早く起きて」

にっこりと微笑みながらもう一度起きるように催促される。

優一は重たい体をゆっくりと起こすと、綿雨さんに小さく会釈した。

「おはよう♡」

まるでわたあめのように、柔らかくて甘い声が体に染み渡る。

「ゆうくん?おはようは?」

今度は少し怒ったように眉をひそめ、お姉さんのような口調で言ってくる。

「あ、おはようございます」ふわぁ〜

挨拶をした直後に、押し寄せたあくびの波を留めることなく出す。

「こーら!あくびをする時は手を当てないとダメでしょ?」

綿雨さんに「めっ!」と叱られてしまった。

でも、それさえ可愛い。

「今日は日曜日。私と一緒に行きたいところがあったんじゃないの?」

そう言えば、木曜日辺りに水族館に行こうと約束した気がする。

それで綿雨さんは早起きなのか。

ひとりで納得しておく。

「つまり、今日はデートよね?」

綿雨さんは頬をほのかに赤くしながら、そんなことを呟く。

「そうですね、大まかにいえばデートです」

実のところ、これはデートではなく、恩返しだ。

綿雨さんは優一の親戚の子供で、色々あって住む場所のなかった優一を住まわせてくれているのだ。

その代わりにこうやって時々、一緒に遊びに行っているのだ。

こんな恩返しでいいのかと思うこともあるが、綿雨さんは満足らしいのでよしとしよう。

「でも、一応はデートなんだから」

綿雨さんは優一の頭を指さして、

「寝癖は、直しておいてね♡」

「はい」

優一はそう答えて洗面所に向かった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


日記

今日のデートでは綿雨さんにかなり満足してもらえたようで、水族館にはまたぜひ行きたいと言ってもらえた。

綿雨さんとなら、何度でも行きたいと思う。


P.S.

魚との触れ合いコーナーで魚と触れ合う綿雨さんはかなり可愛かった。

写真でも撮っておけばよかった。

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