紙谷メイリはヤギに飼われる - 3

 紙谷メイリは二週間前まで、普通にんげんの女子高生だった。


 しいて特別な所を挙げるなら、クラスで三番目に足が遅く、五番目に成績が良く、それから、部活は生物部に所属していた。


 メイリの学校では、校則でクラブ活動への参加が義務付けられている。けれども、スポーツは苦手だし、文科系も空気が合わない。

 どうしようかと悩んでいた所、生物部の先輩から「動物の世話は私が全部するから、数合わせのために入って!」との勧誘を受けたのだった。

 ところがメイリの入部直後、その先輩は何かの病気で入院。他の上級生は名前すら知らない。同級生もメイリ以外は一人もおらず。

 顧問からの勅命を受け、飼育小屋の動物達――ヤギ、ウサギ、アヒルの面倒を見る羽目になってしまった。


 病人を悪く言う訳にもいかず、メイリは多少の文句を言いながらも、真面目に動物達の世話を続けた。三ヶ月ほど経って、何だかんだ、動物達にも懐かれ始め、これはこれで面白いなと思い始めた頃……。


 二週間前の、クーデターだ。

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