[2.1] ウォーゲーム 補足

★スペースインベーター

 タイトーがビデオゲーム黎明期に発売したお化け製品。シューティングゲームに属する。

 とにかく売れに売れて、オリジナル以外にもコピー製品や模造品が山のようにあった。それらを全て含めて、国内で流通したのは50万台とも言われている。

 それまでも、ブロック崩し等のビデオゲームはあったが、このインベーダーから日本のビデオゲームはブームを迎えることになる。


★ギャラクシァン

 ナムコ(現在のバンダイナムコ)が発表した第二世代のシューティングゲーム。スペースインベーターが文字通り「侵略」してくるのに対して、ギャラクシァンは「突撃」を攻撃スタイルとしたゲーム。これも亜流が出てくるほど売れた。

 それ以上に印象的だったのは、それまでのビデオゲームは、ほとんどが白黒製品だったのに対して、ギャラクシァンはカラーだったこと。

 ナムコのシューティングゲームの始祖的作品。


★平安京エイリアン

 シューティングゲーム花盛りだったビデオゲーム界に飛び込んできた異質。

 格子状の迷路になった平安京にエイリアンが侵略、それを検非違使けびいしが穴を掘って埋める、と言ったシュールなテーマのゲーム。

 当時としては珍しく2人協力プレイも出来たビデオゲーム。逆に協力プレイでないと、後半は先に進めない。


★クレイジー・クライマー

 超高層ビルを命綱なしにクライマーが昇っていくという、これまたシュールなビデオゲーム。日本物産(ニチブツ)の発表したゲーム。これも平安京エイリアンも1980年の発売で、新時代を予感させた(笑。

 よくよく考えてみれば、窓の大きさとクライマーの大きさがおかしくて、窓が小さすぎるのか、クライマーが大きすぎるのか、と当時友人たちの間で議論となった。

 著作権に対してユルユルの時代らしく、各フィーチャーのBGMに「ピンクパンサーのテーマ」だの「しらけ鳥の唄」だのが、堂々と使われていた。


★トランキライザーガン

 セガの発表したビデオゲーム。シューティングとアクションゲームのミックスタイプ。

 上空俯瞰の迷路状になったジャングル(とは言え、簡単な構造)の中に現れるヘビ、ゴリラ、ライオン、ゾウの4種類の猛獣を麻酔銃(=トランキライザーガン)を使って眠らせてジープに運んで捕獲していく。

 1種類ずつ捕獲していくとボーナスが入る。ゴリラはたまに捕獲していた猛獣たちを逃がしに来るから要注意。


★Mr.DO

 ユニバーサルの発表したビデオゲーム。何故か土の中(?)にいるピエロが手掻きで穴を掘り、ダイヤモンド見つけていくゲーム。当時大ヒットしたナムコのディグダグの模倣と言われている。しかし、それなりにヒットしたので、コピー商品も出回った。「Mr.Du」とかね(笑。

 ユニバーサルは二番煎じなのだが、上手く料理する。平安京エイリアンは横俯瞰にして、高低差をつけて穴から落とす風にした「スペースパニック」となった。

 ビデオゲーム界では二流メーカに甘んじていたユニバーサルだったが、パチスロ界ではサミーと並ぶメーカとなったのには驚きである(笑。


 ……ボドゲの話のはずなのに、ここまでビデオゲームの解説ばっかり(笑。


★シミュレーションゲーム

 よく「レーションゲーム」といわれるが、それは間違い(笑。

 まぁ、シュミのゲームというのは間違ってはいない(笑。

 シミュレーション=simulationであり、simulate(真似る、模倣する)という動詞の名詞形。名詞になると、模擬戦、模擬実験とかいった意味も含まれる。

 シミュレーションゲームはボードゲームの1ジャンルで、更にそのサブジャンルとしてウオーゲームがある。

 よく、シミュレーションゲーム=ウォーゲームの図式が取られることが多いが、圧倒的にウォーゲームが多いからである。

 戦争物で無いシミュレーションゲームは野球やレースなどを題材にしたスポーツ物もあるし、株や先物取引をモチーフにしたものも多い。

 シミュレーションゲームはその表現方法でがらりとゲームが変わってくる。

 それはリアリティを取るか、プレイアビリティを取るかの違い。

 リアリティを求めれば、本物のシミュレーションとなるが、あまりにも現実に近い結果が出てくるので、最初から結果が「見えている」ようなゲームも少なくない。人によっては「面白くない」と思われてしまう。

 逆にプレイアビリティを求めれば、現実の結果との乖離が生じてきて「シミュレーション」では無くなる。「んなこと、ある訳ねーじゃん!」と言われることになってしまう。

 ゲームデザイナーにはその辺りの匙加減が求められる。


★ウォーゲーム

 シミュレーションゲームの一種。

 元々は軍での机上演習の一つだったらしいが、アメリカでこれをゲームとして発売したものがウォーゲーム。

 実際にあった戦争をモチーフとして、当時の地形、戦力をデータ化してそれをボード、コマに反映したもの。更に天候や時間なども考慮したモノもある。

 それを用いて、実際の戦闘(戦争)を再現するのだが、プレイヤーの取った行動によって、史実とは異なる結果をもたらすかもしれない——というのがミソ。

 例えば、第二次世界大戦で、ドイツが連合軍とソ連軍を撃破していたら……、太平洋戦争で日本軍がアメリカ軍を叩きのめしていたら……、などなど、「if」の結果が見られるかもしれない。

 よく勘違いされるのは、ゲームの出自が出自だけに、「ウォーゲームの好きな奴は、戦争のやりたい好戦的な人間」と言われることだ。

 これは根も葉もないことで、そんな奴はほとんどいないと断言できる。単にゲームが好きで、歴史が好きな人間。空想の好きなロマンチストばかりだ。

 でなければ、「もしかしたら……」の架空に歴史に思いを馳せたりはしない。


★アバロンヒル社

 米国シミュレーションゲーム界の双璧の一つ

 アバロンヒル社(以後、AH)は本当に沢山のシミュレーションゲームを出版している(何故か出版なんだよねー)。日本で発売された多くはウォーゲームだが、実は全出版リストの中では半数程度しか無い(それでも半数)。

 ウォーゲーム以外では経済ゲームである「ストックマーケット」、「アクワイヤ」などが有名。本編でも述べられているが、スポーツを題材に扱ったゲームも数多い。

 今は、トレーディングカードゲームの「マジック:ザ・ギャザリング」で一躍有名となったウィザード・オブ・ザ・コースト社のブランドの一つとなっている。


戦闘指揮官スコードリーダー

 アバロンヒル社の代表作ともなった戦術級ウォーゲーム。

 第二次世界大戦中のありとあらゆる歩兵戦闘を再現できる、との触れ込みで発表された。尤も、スコードリーダー単体では無理な話で、モジュールを追加していくことでそれを可能とした。本編に出てくる「クロスオブアイアン」もそのモジュールの一つ。これは最初のモジュールにして、独ソ戦をより詳細にシミュレートするためのセット。

 第2弾は「クレッセンドオブドゥーム」。これでフランス軍、イギリス軍が追加された。

 第3弾は「G.I.勝利への礎」だったのだが、これの発売が遅れに遅れ、発表されたときにはルールがとんでもないことになっていた。その所為で、元々のシステムとの齟齬が生じてきたのである。

 ここから、スコードリーダーは別の道を歩み始め、アドヴァンスト・スコードリーダーへと変貌していくのだが……それはまた別の話。

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