10

今回は私のお家ではなく

友達のお家での出来事。



その日

私達は友達の家でお泊まり会だった。

その家に、生まれたばかりの子猫がいた。

どこからか拾ってきたようで

飼うつもりではないけど

里親が見つかるまで保護するようだった。



みんなでワイワイおしゃべりしながら

子猫と遊んだりして、楽しく過ごした。

その夜、リビングでざこ寝することにした。

そこのリビングには大きな柱時計があって

ボーンと鳴って時間を告げる。

その前に布団を敷いて寝た。

しかし寝つきの悪い私は

なかなか眠れなかった。



カッカッカッカッ…

玄関の方から音がする。

フローリングの床に爪があたる音。

リビングに入ってきた。

ハァハァという息づかい

クンクン嗅ぎ回って

布団を踏みつける動きが伝わる。

マリーだ。

この家で飼われていた小型犬。

最近、交通事故で死んでしまった…。


「マリーが嫉妬するかな?」

みんなで子猫を可愛がっていたので

友達が冗談でそう言っていた。

本当に来たの?

怖くて目を開けられない。


しばらくざこ寝している私達の間を

嗅ぎながら歩き回っていた。

たぶん、ほんの数分だと思うが

私にはとても長く感じられた。

子猫を探しているのだろうか…


ボーンボーン

2時を告げる時計の音と共に

「ギャウギャウギャウギャウ!」

犬が吠えた。



私は堪らなくなって

隣で寝ている友達を揺り起こしたが

うーんと唸るだけで

起きてくれなかった。

部屋を見回したが

やはり、何もいなかった。



朝になり、友達に昨夜のことを話した。

「それ、マリーだ。

マリーは、ワンって吠えられないんだよ。

それに、この時計の音が嫌いで、鳴るといつも吠えてたんだ…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る