第4話 ダンジョン探索に向けて 

 クダンは学力試験が終わって一人宿を探していた。


 それにしても試験内容が常識問題だとは思わなかったな。


 クダンは試験内容を予め知っていたのである程度の対策はしてきていた。例えば、第一試験なら自分は生き残りかつ相手を倒すため、気配を殺す術を使い、相手の急所を正確に狙う。第二試験なら、基本的な魔法の知識や、近隣国との関係ぐらいは覚えて来ていた。

 まぁ、ただこの試験は人数はあまり減らなかった。基本的なことを聞いてるだけの簡単な問題だった。一人カンニングを疑われ、「俺はカンニングなんて汚いまねなんかしねぇ」と怒鳴ってた奴がいたが、試験官に抑えられていた。このカンニング問題で九十四名いた合格者が八十六名になった。


 クダンがそんなことを考えてたら、宿に着いたのでチェックインを済ませ、そのまま飯を食べようと、席に着き、店員を呼んだのだが、


 「なぜ、お前がここにいるんだ、おい、目を反らすな」


 俺の目の前には追い剥ぎのルーティさんが注文表片手に固まっていた。


 「・・・・・・何のことでしょう。お客様?私の名前はルーシーです」

 「おい、今の間は何だ、間は。まぁ、いい、オススメは?」

  「うちの店は魚をふんだんに使った料理がオススメです」

 「じゃあそれで、ちなみに代金は?」

 「三万八千ルピです」

 「ぼったくりじゃねぇか」

 「チッ、じゃあ頼むなよ」

 

 こいつ、ぶん殴ってやろうか。


 「どうした?揉め事か?これで何回目だ?」


 そう言って、キッチンから顔を出してきたのは、職業斡旋所で受付してくれた職員ルイスだった。


 「クダンじゃないか、入団試験は合格出来そうかい?」

 「それが、次の試験が複数人とのダンジョン探索らしいんだが、ダンジョン探索は初めてだからどうするか悩んでるんだ」


 ダンジョンとは、突然の地殻変動で出来た謎の建造物で、ダンジョンの最奥には魔道具やら、財宝やらがあるらしい、その影響でダンジョンは最奥に行かせないため魔物や罠で侵入者を排除しようとする。

 そして試験内容はダンジョンを最低四人のパーティーを組み、ダンジョンに奥に設置してある札を5日の日が暮れるまでに取ってこい、と言うものだった。

あまり人と関わらなかった俺には難しい試験だろう。

 ルイスは俺の悩みを聞いて、一人うんうん、なるほどと呟き、おもむろに口を開いた。

 

 「それなら、ルーティと一緒のパーティーになったらいいんじゃない?」

 「「はあぁっっっ!!」」


 その瞬間、店の中を驚愕の叫びが広がった。その後ルイスの根気ある説得により、クダンは渋々ルーティを仲間に加えた。そして、彼はきっちり冷えた魚料理の代金を支払う羽目になってしまうのだった。


 


 

 

 

 

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