第9話 愛玩動物
「かわっ!可愛っ!トーヤさんこれ見てください!」
テレビに対して前のめりになって喰いついているリューカルさん。そのテレビが今放送しているのはかわいいペット特集で、今は猫を紹介している。
俺も可愛いと思うけど、猫アレルギー故に猫にあまり近づけないんだよな……悲しい。
「ね、ねぇトーヤさん?うちでもペット飼ったりなんてことは……?」
「いや、うちにはスーさんがいるでしょ。我慢しなさい。」
「うぅ……」
会話に出たスーさんだが、名前を発した瞬間こちらに視線……視線?を向けた後、関係ないことと察したのか、さっさと掃除作業に戻っていった。うん。ペットはスーさんで十分だ。スーさん、掃除屋だけど。
「そっちの世界には猫とかペットはいないの?」
「いますけど……トーヤさんの世界に比べたら犬も猫も人間に頼らずとも狩りで飯にありつけますからね。進んで人間の保護下になろうとする動物はめったにいません。」
聞けば魔物ではないただの動物でも一定のスキルを持ち、魔物に対抗する術を持っているのだとか。
仮にペットにするのであれば圧倒的な力を見せ屈服させるか、生まれた当初から人間に従うべく調教された動物を買うしかないのだとか。ん?ならドラゴンであるリューカルさんなら従えられるのでは?
「私に怯えすぎて、ご飯食べなくて衰弱しちゃうんです……」
「な、なるほど。」
「スライムはあまり恐怖心とかないですから、スーさんはビビらないんですけど。でも!でもこっちの世界の動物なら!」
「リューカルさんや。大前提として俺が借りてる部屋はペット禁止。」
あ、今リューカルさんに雷が落ちたような衝撃が襲ったな。
まぁ、スーさんはこの異次元の部屋で飼っているから見つかりはしないと思うけど、俺の世界から俺の部屋に動物を持ち込もうとすると、バレてしまって部屋を追い出されてしまう可能性だってある。となると、リューカルさんとも会えなくなるから俺が動物を連れ込むというのもなしだ。
「あうぅ……スコティッシュフォールドぉ」
「気に入ったんですね、スコティッシュフォールド……」
ちっさくてまん丸いスコティッシュフォールドはテレビの中で人類に向けて愛嬌を振りまいている。これを見て購入を決めている人もいるんだろうなぁ。俺も条件がそろっていれば危なかったかもしれない。
しかし……ネコの飼いたさでうぉんうぉん唸っているのを見るのも少し罪悪感がわくな。……ふむ、確かリューカルさんは、俺が代わりに買ってあげた任地堂の3TS持っていたよな。
・
・
・
「はぁん可愛い……これがたまにトーヤさんが言ってる尊いってやつですね?」
「多分微妙に違うと思うんですが?」
俺がリューカルさんに買ってあげたのはゲームの中で犬や猫を飼うことのできるゲームだ。大分前にはやったものだから中古の中でも大分安く買えたのだ。具体的に言うと1000円以内だったからな!大した支出にはならなかった。
そのゲームをプレイしながら端正な顔をだらしなくさせたリューカルさんに俺はふと思った。
リューカルさん、ネット小説マンの俺と違ってプロ作家だよな?原稿いいのか……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます