加護

空をふさぐように満開になった花びらを見て思い出す

最後に会ったのは

この花が満開に咲き誇る季節だったと


笑えなかった

言えなかった

ありがとう と

強がりでも言いたかったのに


きれいな思い出で いたいと思った

きれいな存在で 残りたいと願った

だけど

できなかった

きれいになんて


涙があふれて 流れた

声は 叫び声になっていた

言いたくなかった本音を 言ってしまっていた


今でも会いたいよ

会いたい

今でも 好きだから


会いたくないよね

わかっている

聞きたくなかったよね

わかっている

最後くらい きれいに終わりたかったよね

わかっていた


わかっていたよ




あふれ出る

あのときのままの想いも

後悔も涙も


この花が 嫌いなわけじゃない

大好き

空を見せないように庇ってくれているみたい

太陽に笑われないでいられる


でも

空に伝えたい




会いたい。




空は どこまでも続いているから



やさしいやさしい花びら

あのときも見守っていてくれた花びら

どうか空に伝えて


空が見えれば

太陽に笑われて

諦めもつくかもしれないから

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る