第16話 彼女はヤン……

 人間の体というものは面白い、いや適応力がすごいためか野球部の練習も日を追うごとに疲れよりも充実感の方が大きくなった。まぁ、零のダグアウトにいる姿(帽子は横被り)で大体疲れが飛ぶんだけどね。マッサージも相まって疲れは残らなくなっていた。まぁ、疲れよりも元気過ぎる部位もあるが……。野球部への参加もクリアし、今週は卓球部である。そのため、俺はいつもより早く起きて、ラケットの準備をしている、零は朝食の準備中。


  最近、日本卓球界も凄いことになっているが俺は下手の横好きなので、そんなにマジで練習しようとは思わない。だが、ラバーやラケットに関してはこだわりがある。中国選手と同じものを使っており、ラバーとラケット合わせて3万くらいである。そして、今、ラバーを張っている、中国選手の使う中国ラバーというのは、扱えればかなりのボールを打ち出せるが、難点として匂いがある。それも、なんというかイカ臭いのだ。



 「涼さん、朝ごはんにしましょう」


 書斎をノックもなしに開けて、零は入ってくる。

 俺はラバーを張り終え、椅子に腰かけて、卓球雑誌を読んでいた。


 「ちょっと、待って」



 「お、お取込み中に失礼しました。」


 零は、すごい勢いで書斎を出て行ったので、しかもなにか勘違いをしていると思い、追いかけた。


 「お、おい零なんだ、どうした。」


 「いや、部屋の中があの匂いで一杯で、如何わしい雑誌を持っていましたし、待ってくれって仰ったので、ま、まだ全部出してなくてスッキリしていないのかなと、今日も涼さんのアレは凄い感じでしたので……」



 こういう事があるので、俺はうかつにラバーを張れないことが分かった。朝めしの間はずっとその弁解をした。




 放課後となり、卓球部へと向かう。こちらは有名選手も多いがまぁ中級者が多いいな。高校に入っても卓球をやるのは大体強い人というのが女子に対する俺の偏見である。男子は中級から上級といったところか……。



 「今日からよろしく」


 「あぁ、悪いね。一週間よろしく」


 俺に声をかけてきたのは、中学また去年の全国優勝などをしている三國 浩平(みくに こうへい)である。基礎打ちにフットワーク練習をこなした、先週のおかげか体力的には問題ない。強い選手というのは、こういう基礎打ちでまずミスをしない、そしてボールはほぼ同じ打点に同じ軌道、同じ位置に打つことができる。まったく機械のような正確性である。他の部員や1年はエキシビションでも見るかのようにしている。



 「じゃあ、休憩10分な」 「うい~」


 休憩の合図が浩平からかかるとみんなは軽い返事とともにだらけ始める。浩平は練習とかを楽しむことに重きをおいているし、優しいので返事などにとやかく言わない主将である。



 俺はこの休憩中に零のいる書道室に向かう。零は、書道部の活動が入るというし、卓球にマネージャー的な仕事はほぼないので同行していない。それで、寂しいから休憩になったら来てほしいと言われた。



 「涼さん、休憩ですか。約束守ってくれたんですね、ありがとうございます。」


 「あ、うん。これくらいいいよ。」


  上は白に下は紺のザ袴という身なりをした零が書道室から出てきた。書道部の休憩というか自由時間らしい。



 「私がお傍にいなくて大丈夫ですか?書道でしたら抜けられますし」


 「大丈夫だよ、それにマネージャーって言える仕事とかもないし。」


 「そうでしたか、でも私がいないところで浮気とかダメですからね。1年生に確か可愛くて強い人がいると噂になっていますから。」


 「あれ、そんな人いたかな………。」


 「涼さんが知らないならいいんです。」


 「あ、そう。じゃあそろそろ戻るね。」


 「はい、頑張ってください。」


俺は書道室から戻り、また浩平の指示をあおる。今度はダブルスの練習をするらしい。俺と浩平で組むと練習と言えど、何の練習にもならない。サーブや三球目で終わってしまうのである。


 「うーん、まずいなぁ。そうか、ミックスにしよう。」


浩平は女子でも同じような状態になっているペアを呼び、ミックスダブルスをやってみようと言い出した。



 「「萩原さんだ~」」


 と興味津々の二人がきた。


 「私、一年の荒井 南海(あらい みなみ)です。中学のときに全国に出ました。萩原さんのことは知ってます。」


 「私も一年の加藤 雪乃(かとう ゆきの)です。地方大会でベスト4が最高です。全国の大会とか見ましたよ。」


 二人とも元気いっぱいである。そして、ありがちなことだが、スポーツで上位に行く人って美人さんが多いんだよね。二人とも髪が短めで、しかも色白で可愛いのである。


 「南海、俺の時とははしゃぎ方が違う気がするけど……」


 「あれ~、ヤキモチですか~。私が萩原さんの方に行っちゃうとか思いました。」


 「そうは言ってないだろ」


 「あれ~、全国の前の遠征で不安でしかたなくなってた人に色々と元気になるようにあんなことやこんなことしたのは誰でしたっけ?」


 「うぅ」


 あれっ、これはもしかして、浩平と荒井さんはそういう関係ですかね。


 「あ、南海と三國先輩は付き合ってますよ。」


 「ですよね~。」


 「なので、先輩は私とペアですよ。あ、ちなみに私はフリーですから。」


 「あ、そうなの。可愛いから普通にサッカー部とかのイケメン彼氏とかいると思ったんだけど?」


 「そ、そんないませんよ。」


 「まぁいいや、よろしく。」



 サーブやサインの確認をして、なぜか試合となった。白熱した試合となった。加藤さんと俺は右右のペアのため、かなり至近距離で台についている。


 まじかで見ると、ほんとにかわいいなぁ~。髪が明るい茶色で、足の細目で指先も綺麗だし胸もある。卓球のパンツだから、足とかもうほぼ全部見られる。あわよくば、そのしたにある下着もなんて……。


 「あ、あんまりじろじろ見ないでくださいよ。きょ、今日はそんなに可愛いシャツとかじゃないんですから。」


 「あ、はい。すんません」


 男というのは愚かである。試合は俺と加藤さんの息がぴったりあったのか勝つことできた。途中、相手が痴話げんか的な会話もあったがな……。


 「先輩のサーブとかヤバすぎません、教えてください!」


 「あぁ、いいよ」


 「やったー!」


 そして、ダブルスはいったん解消され個人の練習となった。サーブの出し方、レシーブ、攻撃などを手取り、足取り教えた。しかし、その様子をある人が見ていた、いやここがギャラリー有りの体育館であることを俺は忘れていた。





 「なんですか、あの人は。私の涼さんにそんなにベタベタと……。そんな肌を出した姿で、さっきよりも胸元の広い服にわざわざ着替えて……。涼さんも、あんなメス豚の手なんて触って……茶髪がお好きなんですか、へぇ~」



 そして、部活もそろそろ終わりそうな頃、卓球部は柔軟を行う。


 「なぜ、あのメス豚が涼さんの柔軟の相手なんですか。わざとらしく胸を押し付けて……。あと、なに涼さんにその太ももなんて触らせてるんですか。」


 そして、零の張り込みは金曜日まで続いた。なお、涼は知らない。



 「え~先輩、今日で最後なんですか?」


 「まあ、そうだね」


 「もっと練習したかったです。」


 「また、いつかね。暇になったら来るから。ほら、そろそろ帰ろう。俺らだけだからさ。ほら、柔軟でもして。」


 月曜日以降、加藤は居残りをしている、涼に無理を言って。涼の言葉に従い、ヨガや柔軟用のマットへ移ると、加藤はいきなり練習着を脱ぎだした。


 「先輩、じゃあ最後に思い出づくりしましょ」


 「えっ、おい何をして」


 「先輩が好きなんです。なので、ほら私を食べてください。少し汗臭いかもですけど……」


 加藤は下着姿となり、涼に対して馬乗りとなる。高校生の着るようなものでなく、際どいものをきている。


 「いや、それは」





 「待ちなさい、このメス豚。涼さんにそんな汚い体を押し付けないで。」


 零は読んでいた、今日、加藤が何をするのかを。女子更衣室で加藤を監視して、普段の色気の欠片もない下着から部活前に今のものに着替えているのをばっちりと……。


 「これはなにかしら、明らかに校則、いえ高校生としては過激な下着に着替えているようですね。」


 零はいきなり二人の前に現れ、写真を見せる。


 「ちょっと、なんでそんなの。」


 加藤は零のもとへ行く。すると、零は持っていたスマホでその姿を連写する。


 「ちょっと、何撮ってるの。やめてよ」


 零は冷たくこう告げる。


 「あらあら、これであなたは有名人ね。女子高校生って野蛮な男性からした最高のモノらしいじゃないですか。これをネットサイトや週刊誌に載せたら、どうなるでしょうね。家なんて特定されて、あなたのお望み通り、食べていただけますよ。」


 「ちょっと、やめてよ。そんなことしたら……あなたも犯罪なのよ」


 「はっ、犯罪してるのはあなたの方なの、このメス豚。その人は私の婚約者なのよ、なに抱いてもらおうとしてるのよ。」


 「えっ、」


 「ですよね、涼さん」


 「あぁ、うん」


 「えーーーー」


 「そういう訳ですので、この画像を上げますね。」


 「待って、やめて」


 「なに、まだなにかありますか」


 「ごめんなさい、それだけはやめてください。もう先輩に近づきませんから」


 「あら、そう。じゃあ早く消えて。」


 「は、はい」


 「ほらモタモタしないで、いい機会ですからそのまま更衣室までいったらどうですか。途中で良い相手に食べてもらえますよ。」


 「え」



 加藤は泣きながら体育館から去って行った。涼は、修羅場で動けず何も言えないのである。



 「零、どうしてここに?」


 「そんなの決まってるじゃないですか?涼さんをメス豚から守るためです」


 「零、何をして」


 零は書道の袴の上を脱ぎ、涼の顔をそこに埋める。零は、涼の顔に胸を押し当てて息が出来ないようにした。



 「ううう………」


 「涼さんたら、あのメスよりも私の胸の方が良いのですね、うっふふ」


 涼は意識を失った。



  「あれ、ここは?」


俺は確か、零になんかされた気がする。


  「あっ、お目覚めになりましたか。」


 そこには、緑色の妙にいやらしい下着を着た零がいた。部屋も見たことなく、少し暗めである。


  「零、ここはどこ?」


 「私の実家の地下室です。これで涼さんとずっと一緒ですよ。」


  「えっ」


 「あら、まだ意識がはっきりしていませんか?ではこうしましょう」


  「「プハっ」」


 俺は零に口を口でふさがれた。零の舌が強引に入ってきて、よだれの糸が輝く。

 そして、俺の手と足が拘束されていることに気が付く、しかも俺はベットらしきものの上、そして俺は全裸。


 「どうですか、涼さん。涼さん好みの下着ですよ。」


 零は俺の全身に自分の肌を擦り付けてくる。


 「涼さん、脱がせてくださいよ~。あっ、すみません。手を固定しましたので無理ですね、自分で脱ぎますね。」



 そして、零の裸もあらわになる。


 「私の脱ぎたてですよ」


 と自分の下着を広げて、俺の顔に持ってくる。ほのかに甘い匂いがして、頭がおかしくなりそうだった。


 「あ、こちらもカチコチになってきましたね、では」


 零は強引に俺のイチモツをはめ込もうとしている。


 「あっ、そのまえにどうですか、涼さん、髪も茶色にしてみたんですよ。涼さんが好きなあのメスと同じ明るい茶色ですよ。どうです?綺麗ですか?可愛いですか?」


 「え、あぁ可愛いよ。とういか、零どうしたの?こんなことして」


 「涼さんがいけなんですよ。他のメスに目をやって。涼さんは私だけを見ていればいいんです。私だけを可愛がればいいんですよ。涼さんはおモテになるので、こうさせて頂きました。」


 「これはいつまでこうするの?」


 「そうですね~、涼さんが私以外のメスにここを大きくしないようにするまでですかね~。あっ安心してください。お食事とか排泄やお風呂は全て私がお世話しますので。」


 「え、俺そんなに何かした」


 「しましたよ。加藤だかって言うメスにデレデレして。あっ、そうだ。涼さん、子供は何人欲しいですか?」


 「え、いや俺は」


 「えっ、ずっと産ませる。きゃぁ~、涼さんたらもう♡。私のここが持ちませんよ。」


 零は自分のお腹をさする。


 「じゃぁ、涼さん、私が動きますので好きな時にたっぷり出してください。私、今日が排・卵・日ですので。」


 「えっちょっと」


グチャ、ミシミシ……「あぁぁん♡」


それから三日後

「涼さん、見てください。できましたよ、あぁぁん♡赤ちゃんと一緒に♡」

検査薬の結果を笑顔で、俺にまたがり行為中に見せる零がいた。




















 「あぁ、あーーー。はっ」


なんて夢を見ているんだ。時間はまだ卓球部に入部の朝だった。



 「涼さん、朝ごはんですよ~」


 「あ、うん」


 「ラケットの準備はいいですけど、換気してくださいね。それ、臭いので」


 「あ、ごめん」


 俺の手元にはラケットと雑誌があった。そうか、夢か……。


 「あ、それと私、今日髪を染めたいのでこの美容院まで帰りに迎えに来ていただけますか?」


 「あぁ、うん分かった。んで何色にするの?」


 「校則では自由なんですけど、明るい茶色にしようかなとダメですか?」


 「あぁ、うん似合うと思うよ」


 「えへへへ、そうですか。では、朝ごはんにしましょう。」





 俺は今日、気をつけよう。


















  


 




 


 

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