1回目-第2 いつもの?日常

 何故。

 何故1ヶ月以上日が飛んでるの……。


 ……スマホの故障だ。多分。きっと。絶対。

 そう信じて、いつもの様に学校の準備をして家を出た。


 ……桜の木にたくさん葉があるのは、きっと幻覚だ。うん。

 誰かさんの魔法で成長したんだ。魔法なんて本当にあるのかは分からないけど。

「日由~」

 聞きなれた、柔らかい声が聞こえた。

 振り返るとやはり、バスケ部バッグを持つ小学生からの親友・吹田杏鶴すいたあんずが、こちらへ駆けている。

「杏鶴。おはよう」

「おはよう。一緒に行こー」

 私はうんと返事をして、杏鶴の横について歩き出した。


 沈黙が10秒程あり、杏鶴が口を開いた。

「しっかし、中間テスト明けは楽だよねぇ」

「え?」

 まだ4月、しかも中旬。まだまだ中間テストは先のはずだ。

「あれ、日由、解放感でテストあったこと忘れたの? 2日目は特に『いつも以上にできなかった……』って落ち込んでたけど」

 杏鶴の再現は、声・口調共に私そっくりだった。

 私、そんなこと言った覚え、ないんだけどなぁ……。

「……今日、何月何日?」

「え? 5月18日だけど」


 ……もしかして、声に出てた?

 しかも、杏鶴まで5月18日なんて。

 ……ドッキリ?

 ドッキリなら説明がつ……かない。スマホの日付はどうなんだ。

「日由、マジでなんかあった? 何かおかしいよ?」

「な……なんでもない。ごめん、私先行くね」

「え? ちょ、ちょっと日由!?」


 しまいには、杏鶴を避ける様に、そのまま学校まで走って行ってしまった。

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