ちょっとの異世界旅行にいったら美人さんに会えて調子にのってカッコつけたら勇者でもないのに異世界の命運を左右することになるけどオレより従魔がメインな気がするそんな話

kage3

プロローグ

1.おっさんがめんどくせぇ

これは生きることも含めていろんなことがめんどくさいが死ぬのは怖いから生きているそんなどこにでもいそうなサラリーマンのお話しです。




 俺の名前は流空ナガレソラ、地元のそこそこの工学系大学を卒業後2度の転職を経験して現在の下請けシステム製作会社に就職、転職条件は年間休日120日以上は必須。今回の会社はオレにとっては当たりで仕事は納期までに終わればOKなのでほぼ毎日残業なし。給料は安いがおしゃれにお金を使ってるわけでもないし、趣味らしいものはないのでこれにもお金はかからない。休日といえばネット小説を読むかネットゲームをしてダラダラしている。




今日も定時きっかり仕事を切り上げて駅に速足で向かっている途中だ。歩いていると徐々にひたいから汗が出てボサボサの髪が引っ付くので汗を手で拭う、ひたいだけでなく背中からも汗が出てきてシャツが引っ付いてぐっしょりだ、呼吸も少し荒くなってくる、30半ばも過ぎお腹まわりに肉がついて運動不足も気になるがめんどうなので本格的にすることなく、通勤の駅から会社までの徒歩と立ち作業を増やすことで運動していると自分に言い聞かせている。


いつも通る道を速足に通り抜け、多くの車、自転車、人が行き交う駅前の大通りに出ると、前方から声が聞こえてきた。顔あげて前を見ると「アンケート、お願いしま~す!」と女性が大きな声をあげている。


(はあ、また駅前でアンケートか。メンドウだからかわすか。)と思って道の左側へそそくさと女性を躱すように歩く。すると女性は「アンケート、お願いしま~す!」と言いながら道の左側へと人々に話しかけていく。


(げ、なんでこっちに移動するんだ、めんどくさい。)仕方ないので右に向かって人をかわしながら斜めに歩く。するとまたしても「アンケート、お願いしま~す!」と言いながら女性は道の右側へと人々に話しかけていく。


(ええ~!もう!オレはアンケートなんか答えないぞ!)イライラしながらさっきより鋭角に左側へと斜めに歩くと女性が左に顔を向けた。


(またかよ!)と右側へ行こうと体を向けるとニュっと目の前にアンケート用紙を持つベージュのスーツにアニメキャラのネクタイを着けた禿げて太ったおっさんが立っていた。(??え!さっきまでいなかったよな・・・。)あまりに急に表れたので驚いて足を止めてしまった。


「アンケート、お願いします。」とスッとアンケート用紙を差し出してくる。オレは手でアンケート用紙をさえぎりながら通り過ぎようとするが、おっさんはオレの進行をさえぎって頭をさげながら「アンケートをお願いします!」とおっしゃる。


(なんでこんなにアンケートなんかにこんなに必死なんだ?めんどくせぇなあ~)「電車の時間があるのですいま『ガシ』」とちょっと迷惑そうな顔をして断るがおっさんは腕をつかんでくる。「お願いします!アンケートが一枚も取れてないんです。このままだと私会社を首になるんです!私のためではなく、私の妻と娘のためにお願いします!」とつかんだ腕を放さない。腕を振りほどこうとすればするほど、どこにそんな力があるのかますます力を入れて離さない。


(ハァ、なんでアンケートに一家の運命を掛けてんだよ・・・。にしても、道端で金を貸してくれと言われたことは何度もあるけど。一家の運命を持ち出されたのは初めてだなぁ。めんどい・・・。)


おっさんが泣きながら「お願いします。お願いします。」(こんなことなら、元気な女性をかわさずにアンケートを頼まれても断って進むようにすればよかったかなぁ。めんどうなことになった。)と眉間にシワをよせながら禿げたおっさんに目を向けた。

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