第7話 エリーカと眷属


エリーカが里の者達から崇められて、身動きが取れなくなって

彼此かれこれ数刻の時が経っておった。


森の精霊様って言ってた時よりも、熱心に崇める姿は、まるで

一向宗みたいである!一揆とか起さないであろうな?

拙者に対して一揆を起されても、困るからの!勘弁して欲しいわ!


拙者は、宗教とかには寛容かんようではある。何故ならば、

大友宗麟様がキリシタン大名であったからだ!だから

キリシタンにも偏見は無い方である、宗教にも偏見は無い!


戦国の世では、一向宗が暴れた記憶が残っているせいで、一揆は恐い

領民は守るものであるが、暴徒に関しては鎮圧するしかないから

それが辛い、領主が領民に尽くしても、その逆でもだが、余所から来た

僧侶に騙されて、暴徒と化すのが忍びないのである!


大抵の場合は、余所から流れて来た僧侶とかは、他の大名の間者であるが

領民には、そんな事は解らないのである!鎮圧が終って事実確認をして行く

内に、事が発覚する事など日常茶飯事である。


だからエリーカには慎重に行動をして貰いたい!エリーカの行動1つで、

此処の里の者が不幸にもなるからである。そうならない様に拙者が、

エリーカに言い聞かせよう!


拙者は、こう見えても領民思いの領主であるのだ!自慢ではないでござる!

本当の事じゃ!拙者の行動を見てたら、いくさ馬鹿とか思ってないであろうな?

戦馬鹿でって事は無い.....少しだけ馬鹿なのかもしれんが、そんなに戦馬鹿じゃない!

拙者の事など、どうでも良いのである!今問題なのは、エリーカの事である!



....................................................




エリーカよ!少し話をしても良いか?

「どうしたの統幸?」


里の者がエリーカを物凄く崇めているが、それをどうにか出来ないのか?

「それは無理な話よ、ハイエルフは森の精霊の眷属なのよ!」


眷属とはなんじゃ?

「ん~家来みたいな者よ!」


家来なのか?領民ではないのか?

「眷属の者は、命に代えても森の精霊を守る者達なのよ!それが役目なの!」


拙者は、勘違いをして居た様だ。領民を先導して戦いに赴かせるのは、

いかん事だと思ってエリーカに注意をしようと思ったのだが、拙者の

早とちりであった、すまぬ!


「別に良いわよ!住む世界が違うのだから、そこの常識なんって

          最初から解る訳ないもの、だから気にしないで統幸!」


家来が、主君の命を守るのは当然じゃ!それを止めよと言えば、

      仕事を奪うのと一緒じゃからの、拙者が、先走ってしもうたわ!


「そうね、あの者達にも使命があるから、それを邪魔しないであげてね。」

あいわかった!


1つ聞くのだが、五郎丸達は家来になったから、着いて来るのは解るのじゃが

里の者は、どうするのかの?何か聞いておるか?


「里の者は、私が旅をするのなら護衛をすると言ってるわよ!」

里の者は数名なのか?


「里の者全員で、護衛するとか言ってたわよ?その他に近隣の集落に

         知らせてくるとかで、数日間は里で待って欲しいそうよ?」


此処の里の者は全部で何人か聞いておるか?

「この里の者だけで、200人って言ってたわよ。」


忍軍だけでも190人居るのに、更に200人も加わるのか?

そうなると兵糧が心配じゃの!食い物はどうするかじゃな?


[統幸様お話の途中ですが、失礼いたします!統幸様が心配されている

 兵糧なのですが、先の倒した山賊達の貯め込んだ、兵糧と財宝があります。]


山賊の兵糧と財宝があるとな?どの位の戦費を蓄えてたのじゃ?

[はっ!おおよそおおよそ1千貫文ほどかと!]


「五郎丸殿!此処の世界のお金の単位はベルクですよ!」

[此方のお金にすると.....不明でござる!]


「私が、財宝を鑑定してあげるわよ?」

エリーカに見て貰おうぞ五郎丸!

[では、此方でござる!]

 



......................................................




{族長の家にて}


「此れで全部なの?」

[此れで全部でござる!]

多いの?こんなに有ったのか!?



{エリーカの鑑定中!}



「中々に良い品が揃ってたわよ!」

それで、どの位の軍資金があるのじゃ?


「此方の世界のお金にすると、50万ベルクって所ね!」

それは多いのか?少ないのか?


「そうね....1人が一ヶ月で使うお金が、1000ベルクだから

             10万ベルクで100人を養えるわよ!」

周りの集落から、今以上に人が集まるのじゃぞ!それでは足りんぞ!


「そうでしょうね。今でも393人居るから.....少なく見積もっても、

       後300人以上は、集まるわよね.....どうしようか統幸?」


どうしようってエリーカの眷属であろう?どうにか出来んのか?


「私に言われてもね.....何処かで私が国でも作れば、何とかなるかもね」


んっ!?もう一度エリーカ言ってみてくれんか?


「だから!私が国でも作れば、そこで暮らして自給自足をして貰えば

                私達が養わなくても済むじゃない?」


なるほどの!松永爺の所に行くのは遅れるが、無い袖は振れぬからの!

エリーカの国を作れる場所でも探すか!?作れる場所は何処かにあるのか?


「大陸は無理よね!国が多すぎて開いてる土地が無いわよ!大きな島でも

        探して、そこに国を建てるなら、建国は出来ると思うけどね!」


ならば、海に行こうぞ!海は此処からは近いのか?


「此処から一番近い海は東の海よ!そこには海賊がでるけどね!」


次の行き先が決まったぞ!東の海じゃ。皆の者、行軍の用意じゃ!


[はっ!かしこまりました。]




{統幸達の行き先は、東の海に決まったようだ。}




......................................................




【北のハイエルフの里から、総勢100名エリーカ様の為に参上しました。】

【南のハイエルフの里から、総勢120名エリーカ様と行動を共にします。】

【西のハイエルフの里より、総勢200人エリーカ様と命を共にします。】

【東のハイエルフの里より、総勢65名エリーカ様の護衛をする為に来ました。】


[総勢877名は、統幸様とエリーカ様の為に命として働く所存でござる!]


「皆の者面を上げよ!私の為に馳せ参じてくれた事を嬉しく思う!」


拙者からも一言良いか?エリーカの為に国を作るのを手伝ってくれ!以上じゃ。


≪国作りをするのですか?我々だけの国じゃ!隠れ住む必要がなくなるのか?≫


[皆の者!統幸様とエリーカ様に忠誠を誓え!忠誠を誓えない者は去れ!]


≪ハイエルフ一同、お2人に永遠の忠誠をお誓いします!≫


それならば良し!いざ、東の海に向けて出立じゃ!


≪おおおおおおおおおおおおおおぅぅぅぅ!≫

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