第6話 生態レポート【オーク種】

 オークという種族は非常に誤解されやすい種族だ。見た目は脂肪の塊で性欲が非常に強く知性が豚並しかないという何とも偏った評価がされがち。地球を問わずヒューマン種にはその見た目から創作物においてよく悪役として登場する悲しい種族である。


 オークは平均身長が約2m前後であり大きな個体で3m近くにもなる為、体躯は非常に大きい。全身が筋肉の塊であり運動能力が非常に高い種族でもある。あるオークは体重計に乗せ図ろうとしたが計測器が破損してしまい計測不可。後に量ったら体重275kgと出た。


 知性が低いと思われがちだがこれは一方から見れば事実である。知能指数は比較対象として人間でいう10歳児程度しかなく「行く」「止まる」「敵」といった簡単な作戦や概念しか理解できない。しかし一部のオーク種は非常に優れた頭脳を持つ。この一部のオーク種を便宜上支配者階級と呼称する。


 オーク種は20人~50人程度の集団で暮らし雄と雌の比率が6:4で構成された群れを形成する。彼らの特徴としては集団内部において階級意識が確立されている点が挙げられる。食糧集めや外敵との戦闘は隷属階級が行い支配者階級が指示、頭脳労働を担当するようだ。


 彼らの生活スタイルにあった進化であると言えるだろう。これは推測であるが知能の発達により仲間同士の殺し合いを防ぐため意図的に知能指数に差を設けたのではないだろうか。皆が同じ知能を持っていればほぼ必ず仲間内での争いが起きてしまうだろう。支配者階級と隷属階級に分けることでより強固でスムーズな統率関係を形成し外敵との戦いに備えたのではないかと思われる


 事実オークの脅威は強固なチームプレーとその戦闘力にある。恵まれた体躯から繰り出される攻撃は非常に強力で唯の体当たりでコンクリートの壁すらもたやすく破壊する。また武器は槍や剣といった刃物よりも棍棒や盾、メイスといった打撃武器を好むがこれは彼らの攻撃に耐えられるだけの耐久力が斬撃系武器にはないからだと思われる。豊満な筋肉繊維の塊による突撃はまるで重戦車の如き破壊力で相手を蹂躙していく様は圧巻としかいいようがない。


 ヒューマン種、地球の文化圏などではよくオークが性欲を持て余し女子供を攫って***して*****(自主規制)する事で子孫を増やす等と思われているがこれは大きな過ちである。繁殖期になると彼らは非常にエネルギーを必要とするため大型動物や人間を襲うのである。つまりはそれらを食糧とすることで繁殖時における雌の母体へのエネルギーとするのである。


 これが上記のような誤解になったのは人間を捕まえる際は体躯が大きい成人や抵抗が大きい男性と戦い餌を確保するよりも体躯が小さく簡単に捕獲できる女子供を狙う方が無傷での確保が可能だったからであろう。男よりも子女を優先して狙い生きたまま巣穴へ持ち帰るためそのような誤解が広まったのだと思われる


 このような誤解(人間を襲っているのだから誤解でもないだろうが)から人間達によるオーク討伐運動が起き一族がバラバラになったらしい。当施設においては人間を含む知的生命体に対しての捕食活動を禁止するとともにより効率的なエネルギーの提供を行う事で繁殖を促している。今後5年を目安にオーク族の個体数を増やす事でいつかは故郷へと帰ってもらうつもりである。

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