第20話 お化け屋敷
次に二人が向かった先は、お化け屋敷だった。さすがに、これならばリアも吐くことはないだろう、というトラマルの提案だ。
「私、お化けとか信じていないんですけど」
「お前、シャドウ・スコーピオンのアジトから脱出するとき、祟るとか呪うとか喚いていたよな? 何でお化けを信じないのにそういう言葉が出てくるんだよ」
「そ、そんなこと言ったかしら~?」
「……いや、いい。ここで言い争いになってもつまらないからな。それよりも、さっさと入るぞ」
トラマルはお菓子で作られいているにも関わらず、おどろおどろしい雰囲気を醸し出しているお化け屋敷の中に入ろうとした。だが、そのトラマルの腕を、誰かがガシッ、と捕まえる。もちろん、リアである。
「……」
「……」
「おい」
「何?」
「怖くないんじゃなかったのか?」
「怖くないとは言っていないわ? お化けなんて信じないって言っただけよ?」
「どう違うんだよ!」
「全然違うわよ! そんなことよりも、早く、いや、ゆっくりといきなさいよ!」
「はいはい」
トラマルはリアと手を繋いで、ゆっくりとお化け屋敷の中に入っていった。そこは、真っ暗な中に薄明かりがボウッと灯されているだけの空虚な空間だった。これだけでお化け屋敷というのは少々無理があるだろう。
だが、次の瞬間現れたものは、リアの想像を、いや、トラマルの想像ですら上回っていた。
ドドドドドドド。
何かがこちらに向かってくるような地響きがする。トラマルとリアはその音のする方をじっと見つめた。そして、その姿がはっきりと見えた瞬間、二人は絶句した。
「な、何、あれ!?」
「お、お化けか!?」
現れたのは、お化け、というには少々雑な変装をした町の人々だった。だが、それが武器を持ってものすごいスピードで迫ってくるのだ。これは、お化けとかそういうもの以前に、身体的恐怖を感じる。
「え? ちょ、まさか、これって……!」
「に、逃げるぞ!」
トラマルとリアは手を繋いだまま逃げ出した。薄っすらと見える光を目指して、二人は走った。走って、走って、走って、そして光の先にあったものは……。
非常口だった。
「あ、この光、非常口の光だったんだ」
「紛らわしいわ!」
トラマルとリアはそのまま非常口からお化け屋敷を出て行った。
「な、何だったのよ、あのお化けの集団は……」
「わ、わからん。だが、一つ言えることは、お化け屋敷って、こんなんじゃないよな?」
「え? 私、お化け屋敷に入るの初めてだから、よくわからないんだけど」
「お前、いままでどんな生活を送ってきたんだよ……」
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