第6話 無関心

 宿屋の主人も寝静まったころ、トラマルとリアが泊まっている宿屋『あなぐら』の裏庭に誰かが侵入してきた。それを、二階にいるトラマルがいち早く気づく。



(ん、泥棒か?)



 侵入者は窓から一階の部屋の様子を確認しているらしく、壁に張り付きながら移動していた。そして、ある一室の窓のところで立ち止まる。



(……馬鹿女のところか)



 侵入者は部屋の主が寝ていることを確認すると、窓を調べ始めた。信じられないことに、鍵すら掛かっていない。



(あの馬鹿女。正真正銘の馬鹿だな)



 トラマルは一瞬このまま二階から飛び降りて侵入者を襲撃しようかと思ったが、敵であるリアに対してそこまでする必要はない。むしろ、リアが困ればそれだけトラマルにとって喜ばしいことだった。



(無視するのが一番だな)



 トラマルはカーテンを閉め、ベッドの中にもぐりこんだ。ベッドの弾力が、トラマルを夢の世界へと誘ってくる。思考は、そこで途切れた。

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