ハムザを帯びた名詞の部(v1-0118~0151)

v1-0118


本章中のムザッワーフの語彙


ارتت ärtüt ベグ或いは其れに類する人に贈る馬匹や其の外の物品。後にこの言葉は礼物一般に用いるようになった。

ارقق arquq 「ارقق کشي arquq kishi」話を聞かない、しつこい人。

ارقق arquq 檁、棟木。両壁或いは両柱の間に架ける横木。

ابکك öpkük 鳥。戴勝、ヤツガシラ。

امك ämgäk 仕事、骨折り、苦労。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  امکك اکندا قالمس

  ämgäk äkindä qalmas

  骨折りは畑に残らず。

 労苦は費やせない。この諺の意味と大いなる神の啓示「ان مع العس یسرا」は似ている。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  ایدي سنك اوذو

  aydi säning udhu

  امکك تلم ابذو

  ämgäk tälim idhu

  یشر قتغ اوذو

  yumshar qatigh udhu

  کنکلم سنکا بکرك

  könglüm sanga yügrük

 愛する人に見えた時に問う。「あんなに高い山を貴方はどうやって越えてきたのですか?」答えて言う。「何故ならば、私の心は貴方にある。だから、高い山も低く感じる。」


v1-0119

امکك ömgük 囟門 。未だ閉じられてない嬰児の頭蓋骨の囟門 。

اشکك äshgäk ロバ。両語(オグズ語とテュルク語)では「اشیاك äshyäk」とも言う。その中の「ی」の字が、重なる二つの文字の一つに代替えされるのである。


v1-0120

ارکك ärkäk 男の、各種動物のオス。「ارکك تقاغو ärkäk taqaghu」雄鶏。

انکك ingäk 乳牛。オグズ人は雌の亀のことを「انکك ingäk」と呼ぶ。


本章中のミサッラルの語彙


ایغز uyghur 回鶻。一国名である。五つの都市を有する。聞くところによると、これらの都市はズルカルナインとテュルク可汗の和議の後に修建された。

 ムハンマド・チャキル・トンカハーンの子ティザーミッディーン・イスラフィール・トガン・テギンは、父親から聞いた話を私に話した。彼が言うには、ズルカルナインが回鶻汗国に迫った時、突厥可汗は四千の兵を遣わして迎え撃った。彼らの帽子は鳶の翅の様であり、彼らは後ろ向きに矢を放つことも、前向きに矢を放つことも、同じように熟達していた。ズルカルナインは此れに異様に驚いた。併せて語った。「اینان خذخرند inan hudh huränd 彼らは自力で生計を立てる者であり、他人に頼らず、獲物を捕らえることは思いのままであり、彼らは望む時に何時でも獲物を得て腹一杯になった。」此の為、彼らは「خذخر hudh hur」と呼ばれた。後に「خ」は「ا」に変わった。喉音が互いに交替し、特に「ا」が「خ」に変わり、「خ」が「ا」に変わるのは、よく見られる現象である。

 本書を執筆するマフムードが按ずるに、我らの祖先アミールは「خمیر hämir」と呼ばれ、原因は此処にある。何故ならば、オグズ人は「امیر ämir」と言えないので、「ا」が「خ」と交替して「خمیر hämir」と言うのである。サーマーン朝の後裔から奪い返した突厥の疆域の我らが祖先は「(پحر کین(خمیر تکین hämir tägin」と呼ばれていた。正に上の通り「ابغر uyghur」という言葉から指し示すところは同様であり、この中の「ا」と「خ」が変化したのである。

 この国は、五つの都市を有する。当地の巨民は最も凶悪な異教徒にして、最も優れた射手でもある。五つの都市は、「سلمي sülmi シュルミー」(この都市はズルカルナインが建てた所である。)、「قوجو qochu コーチュー(高昌)」、「جنبلق chanbaliq チャンバリク」、「بیش بلق bäsh baliq ベシュバリク」、「ینکي بل yangi baliq ヤンギバリク」である。


v1-0122

ایتش aytish 二人で互いに挨拶し合うこと。

ایتغ aytigh とある方言で「ایتش aytish」と同じ言葉。互いに挨拶し合うこと。

ایرق ayruq 他の。別の、その他を表す言葉。オグズ語。

ایرق ayriq 冰草(Agropyron cristatum)、飼料として使われるイネ科の植物。新鮮で柔らかい植物。テュルク人は「اذرق adhriq」と言う。オグズ人は「ذ」を「ی」に言い換える。

ایرق ایرق ayruq ayruq 「そうだ、そうだ」の意味。オグズ語。


本章中で語頭と語尾に「ا」が付く語彙


ایلا äylä そのよう、そうのように。オグズ語。「ایلا قلغل äylä qilghil」その様にしなさい。

ایلا öylä 真昼。オグズ語。キフチャーク人は「ی」を「ز」に替えて、「ازلا özlä」と言う。


v1-0123


本章中の別の一類


اجلق achliq 飢餓。

اشلق ashliq 厨房、台所。オグズ人は小麦のことを「اشلق ashliq」と言う。

اشیك äshyäk ロバ。「اشکك äshgäk」とも言う。この言葉は「ی」を使った方が、やや優雅である。

اؤیا avya マルメロ。パパイアの一種。とある方言である。


本章中の四字の語彙


اکتو iktü 家畜。

اقرو aqru ゆっくり。「اقرو اقرو aqru aqru」ゆっくり、ゆっくり。

اذکو ädhgü 好い、善。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  قشني قنم اغشقا

  qoshni qonum oghushqa

  قلغل انکا اغرلق

  qilghil angar aghirliq

  ارتت الب اننغل

  ärtüt alip anunghil

  اذکو تؤر اغرلق

  ädhgü tavar oghurluq

 親戚や友人や隣人を尊重して持成さなくてはならない。もし彼らから礼物を受け取れば、より貴重なお返しを彼らに与えなければならない。


v1-0124


本章中に一つだけの類


امشوی amshuy すもも。


本章中のグンニィーの語彙


انکدز ängdüz 大車という植物。草の根っこを掘り出して、馬の胃病を治す。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  انکدز بلسا ات الماس

  ängdüz bolsa at ölmäs

  大車が有れば、馬は死なず。

 この草の根っこを擂り潰し、汁を取り出して馬の鼻孔に入れれば、直ぐに治るのである。この諺は、旅をする人に好く準備をするように勧めている。


v1-0125

انکلج ingliq 山に生える大蒜に似た植物、肉を焼きながら一緒に食べる。

انکلك änglik 口紅。婦女たちが頬に塗る淡い紅色の顔料。

انکذن öngdün 前、前面、以前。オグズ人は「د」と「ن」を省略して「انك öng」と言う。これはオグズ語の一つの決まり事である。「انکدن یرت öngdün yorut」(馬を)前に走らせる。


語尾がグンニィーの語彙

الدنك uldang 靴底。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اتقا اؤت اتسا الدنك یماس

  itqa uvut ätsä uldang yämäs

  犬も恥を知れば靴底を喰わず。

 この諺は、人は恥を知り、邪を改め正に帰すことを勧めている。

اژلنك uzlang 蜥蜴。オグズ語。

ازدنك izdäng 網。ある種の漁具。木の枝を水中に挿して柵を作り、その中間を一つ口を作り、その口の上に網を張る。魚が入ったら、網を掬い上げる。


v1-0126

اخسنك ahsung 「اخسنك ار ahsung är」争いを起こす人、酔っぱらって騒ぎを起こす人。この言葉は何処かの方言では「اخسم ahsum」と言う。


本章中のミサッラルの語彙


ایبنك aybang 禿げ頭。「ایبنك ار aybang är」禿げ頭の人。チギル語。

ایدنك ayding 月明り、月光。


四字の語彙


ارنکان ärngän 単身、独り身。「ارنکان ار ärngän är」独り身の男。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  ارنکانکا الك قري بوزن ام تکاماس

  ärngän älik qari bözün öm tikämäs


v1-0127


فعل fä’l فعل fu’l فعل fi’l 型の中間に各種の動符を帯びた字の語彙の章


ارقار arqar 雌のアルガリ。雌の野生羊。その角で刀の柄を作れる。

اشبار asgbar 餌、飼料。麦草と麬を混ぜて馬に与える飼料。

اشلار ishlär 婦女。元々は「اشیلار ishilär」で、意味は「女たち、婦人たち」である。勘弁にする為に「ی」を省略した。この言葉は既に複数形であるが、単数にも持ち得る。この様に呼ぶ所以には、元々更に長い典故があったのである。

اخشاغ ohshagh 同じ、似ている。「انك اخشاغي aning ohshagh」彼に似た者。

ارقاغ arqagh 経糸、布の経糸。

اؤروغ ovrugh 鎖骨。この言葉は「اغروغ oghrugh」とも言う。山脈が断たれて二つに合わさる所を「اؤروغ ovrugh」と言う。

اؤروغ ovrugh 脊椎と頸椎が繋がる所。この三文字の言葉の正確な筆記法は「اغرمغ oghrugh」である。

اغراق oghragh 意図、目的。


v1-0128

انداغ andagh その様に。「انداغ ایدم andagh aydim」その様に私は言った。

اندغ andigh 通し、古いなどの類の枠。「ابراق تون abraq ton」磨り切れた服。

ابراق upraq 磨り減る、磨り切れる。

اتغاق atghaq 黄疸、疝痛、腹部の激痛。黄色い液体が溜まって腹部が膨張する症状。とある黄色い花のことも「اتغاق atghaq」と呼ぶ。悲嘆に暮れ、顔が黄色くなった人も、この言葉で例える。

اجماق uchmaq 天国、楽園。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  ترلك ججك یزلدي

  tülük chächäk yazildi

  برحن یذم کرلدي

  barchin yazim kärildi

  احماف یري کلدي

  uchmaq zäri körildi

  تملغ ینا کلکوسوز

  tumlugh yänä kälgüsüz

 この様に春の景色を描いている。花々が咲き乱れ、まるで絨毯を広げたようである。大地に楽園が現れたようである。天気は陽気で、厳寒は去って戻ることはない。


v1-0129

اخساق ahsaq 跛、ちんば、びっこ。

ارتاق artaq 悪い、変質した、腐った。「ارتاق نانك artaq näng」悪くなった物。

ارغاق orghaq 鎌。

اغراق oghraq オグラック。「قرا یغاج qara yighach」地方に住むテュルクの部族。

اغلاق aghlaq 「اغلاق ییر aghlaq yär」辺鄙で静かな所。

اغلاق oghlaq 仔山羊。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اغلاق یلك سز اغلان بلك سز

  oghlaq yilik siz oghlan bilik siz

  仔山羊に骨髄は無く、子供に知識はない。

استاك istäk 願望、欲望。「استاك قبتي istäk qopti」欲望が生れた。

استاك üstäk 補う、加える、頭の回り。例えば、千に百を加える。「من استاك بیردم män üstäk bärdim」我は頭に巻いた。


v1-0130

ابلان öplän 豆鼠(Spermophilus dauricus)、ダウリアン栗鼠。ある種のネズミ科の小動物。

ارغون arghun 黄鼬、黃鼠狼(Mustela sibirica)、シベリアイタチ。ネズミ科の動物、長さは半ゲズ(35cm:1gäz=0.71m)程の生き物で、壁の隙間から雀を捕まえる。イタチがもし羊を傷つけたら、羊肉が黄色くなる。もし寝ている人が噛まれて起こされたら、その人は尿が出せなくなる病を患う。

التون altun 金。黄金。

امکان ömgän 頸動脈。

انکان ingän 雌駱駝。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  انکان انکرسا بتو بزلار

  ingän ingasa botu boylar

  母駱駝が鳴けば、仔駱駝は応える。

 この諺は、新属同士は互いに思いやり慈しむことを表す。


本章中のミサッラルの語彙


ایناش oynash 重ね夫、夫の他に情夫を持った女。

ایناق oynaq 風流。「ایناق اشلار oynaq ishlär」風流な女。

ایران ayran ヨーグルト。


「و」を加えた語彙


ایناغو oynaghu 「ایناغو ییر oynaghu yär」楽しい所、遊び場。


v1-0131


本章中のマンクースの語彙


الیان ulyan 香りのある植物の根、食べることが出来る。


本章中のグンニィーの語彙


ارنکاك ärngäk 指。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  بیش ارنکاك توز ارماس

  bäsh ärngäk tüz ärmäs

  五本の指はそろわない。

 意味は「人と人の間にも差がある」ということである。

ارنکاك ürngäk 湿った石灰。


فعل fä’l فعل fu’l 型の語彙


الوج aluch サクランボ。

الار ular セッケイ、雪鶏。

اوسوز usuz 不眠、眠れない。「اوسوز کشي usuz kishi」眠れない人。


v1-0132


اسیز äsiz きかん坊、いたずらな、やんちゃな子供。

اذیز äziz 高い。凡そ物が高いこと。

اکیش ägish スラグ。鉱石を溶かした後に出る滓。

اکیش igish 気性の粗い家畜。

اؤاك äväk あわてる、せっかちな。「اؤاك ار äväk är」せっかちな人。

الوك älük 諷刺、そしり、冷やかし。

الاغ ulagh 乗り料。ベグの命令により駅逓にて供給される急使の為の替え馬。

الاغ ulagh  結び目、継ぎ目。衣服に入れられた繋ぎ目。

اخاق uhaq 甘い干し杏の汁。飲み物。

اشاق ushaq 是非を弄ぶ、取り留めないない話が広まる。悪口が広がる。流言。「اشاق سوز ushaq söz」悪口、流言飛語。

اسال asal 「اسال کشي asal kishi」ちょろい人、軽率な人。

انال inal 母親が貴族で、父親が平民の青年の呼称。これは決まり事である。

اجان uchan 双帆の木舟。キフチャーク語。


本章中のミサッラルの語彙


ایاس ayas 晴れた。朗らかな。「ایاس کوك ayas kök」晴れた空、青空。見た目の美しい奴隷も「ایاس ayas」と呼ぶ。


v1-0133

اتون utun 卑しい。


四字の語彙


اکای ögäy 後継の、血の繋がってない。「اکای اتا ögäy ata」継父。「اکای اغل ögäy oghul」継子。「اکای قیز ögäy qiz」継娘。

امای umay えな、胎盤。婦女が分娩の時に嬰児と共に出す下り物のこと。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  امایقا نبنسا اغل بلور

  umayqa tapinsa oghul bulur

  ウマイを祀れば子を得られよう。

 誰かが分娩に励めば、誰かが子を得る。婦女たちが縁起を担ぐのである。


فعلی fä'la 型の各種動符を帯びた語彙の章


اربا arpa 大麦。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  ارباسز ات اشوماس ارقاسز الب جریك سیوماس

  arpasiz at ashumas arqsiz alp chärik siyumas

 大麦が無ければ、馬は越えられず、後ろが無ければ、益荒男は陣を衝けず。この諺は、人に如何なる時でも互いに支え合うべきことを勧めるのに用いられる。

ارتو ortu 中、中間。様々な物の中心。「ارتو ار ortu är」中年男。「اؤ ارتوسي äv ortusi」部屋の中間、「کون ارتو kün ortu」正午、真昼。


v1-0134

ارتا ärtä 朝。

ارحي archi 包み、袋。

اردو ordu 皇城、宮殿。この為、可汗達が居住するカシュガル城は「اردو کند ordu känd」と呼ぶ。

اردو ordu オルドゥー。バラーサーグーン附近の一城市。バラーサーグーンもまた「قوز اردو quz ordu」と呼ぶ。

اردو ordu 「اردو بشي ordu bashi」可汗の侍従。

اردو ordu 洞穴。鼠やモグラの類の巣穴。

اردو ordu 「اردو تال ordu tal」毛を腐蝕させる石灰の混合物。

اکدو ägdü 湾刀。鞘などを削るために用いる先の曲がった小刀。

اکدي ägdi 屠畜場。家畜を屠る場所。

امدي ämdi 今、只今。「امدي کلدم ämdi käldim」我今来たり。オグズ人は「ا」の字を斉歯音で読んで「امدي imdi」と言う。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  ابکم کلب اغردم

  öpkäm kälip oghradim

  ارسلن لیو ککردم

  arslanlayu kökrädim

  البلار بشن تغردم

  alplar bashin toghradim

  امدي مني کم تتار

  ämdi mäni kim tutar

 怒りのままに敵を打ち、獅子の如く吠え、敵の益荒男の頭を叩き割る。敵の群れの中で叫んだ:「今誰が我を捕らえん?」


v1-0135

امدو umdu 望む、渇望、乞い求める。「امدوجي umduchi」乞食。

اندا anda そこ。その中。

ابري opri 穴、陥没したところ、穴蔵。

اترا otra 中、中間。あらゆる物の真ん中。この言葉の変形が「ارتو ortu」である。


v1-0136

ایرو ayru その他の、別の。「موني تیلامسا سن ایرو نا کوك muni tilämäsä sän ayru nä käräk」これを喜ばないなら、お前は他に何を望むのか?

اذري adhri 木の股、分れた枝。凡そ二股に分かれた物を「اذري adhri」と呼ぶ。 「اذري بتلغ adhri putlugh」脚を開いた人。

اترو utru 向かい合う、向かい側。「ال منکا اترو کلدي ol manga utru käldi」彼は我の向かいに来た。

اسرا asra 下、下の方。

اسرا isrä 低い、下、後ろ。「ال اندن اسرا ال ol andan isrä ol」彼は彼より下だ、彼は彼より低い。

اسري äsri 豹。qaplan。色とりどりの縄を「اسري یشغ äsri yishigh」と呼ぶ。二種類の色のある者を豹柄に似ているので「اسري äsri」とも言う。

اغري oghri 泥棒。・・・中略・・・「بو نانك انك اغري ال bu näng aning oghri ol」この物は其れよりも悪い。


v1-0137

اکري ägri 曲がった。反った。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  یلان کندو اکریسین بلماس تؤی بوینن اکري تیر

  yilan kändü ägrisin bilmäs tävä boynin ägri tär

 長い虫は己が曲がっていることを知らずに、駱駝の首が曲がっていると言う。この諺は、自分の欠点を弁えずに、他人のことを嘲笑う人を比喩している。

اکرا ügrä 細切りの湯麺。湯麺の一種、一般的な物よりも汁が多めで、旨い味わいがある。

الري älri 仔山羊の皮。「د」を付け加えて「الدري äldiri」と言う事もできる。

اژرو urzu ジャッカル。群がって囲む人々の様、「کشي اژرولیو قردي

kishi aryulazu qordi」人が胡狼の様に群がった。

ارسو arsu 下賤な、安物。オグズ語。

ارغو arghu 二つの山の間。此の為、タラスとバラーサーグーンの間の諸都市も「ارغو arghu」アルグーと呼ぶ。何故ならば、これらの都市は二つの山の間にあるからである。

ارغا urgha 高く大きな木。オグズ語。エルグー語でも、この様に言う。


v1-0138

امغا imgha 実物で貢賦を受け取る官吏。

انغا angha 卑しい、役立たずな。「انغا ار angha är」卑しい人。様々なゴミも「انغا angha」と呼ぶ。

ارؤي irvi 「ارؤي قلاق irvi qulaq」とんがった長い耳。

ارؤي irvi 病人に服用させる、とあるインドの薬。

ارقا arqa 背、背中。

ارقا arqa 後ろ盾。困難な時に助けてくれる人。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  ارقاسز الب جرك سیوماس

  arqasiz alp chärik siyumas

 後ろ盾が無ければ、益荒男も陣を衝けず。

ابکا öpkä 肺。

ابکا öpkä かっとする、むっとする。何故ならば怒気は肺から生じるからである。二者は近い物である。正しくアラブ語で「雨」を「سما 天空」と呼ぶようなものである。

اتکي ötki 代価。チギル語。「بو اتقا اتکي بیدم bu atqa ötki bärdim」この馬に替える物を我は与えた。

اجکو ächkü 山羊。

اجکو ichkü 飲み物。

اذکو ädhgü 善い、美しい。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  کلسا کشي اتما انکار ارتر کلا

  kälsä kishi atma angar örtär külä

  بقل انکار اذکولکن اغزن کلا

  baqqil angar äshgülkün aghzin külä

 ある人が微笑みながら我が家に来た。彼の顔に熱い灰を巻いてはならない。にこやかに喜んで彼を好く迎え入れなければならない。


v1-0139

ارکي ärki 疑いを示す虚詞。「ال کلرمو ارکي ol kälirmu ärki」彼は来れるのか?この言葉は疑問詞にも使える。

ارکو örkü 駱駝の瘤。

اسکو äskü 目の粗い篩。

اسکي äski 古い、悪い。「اسکي تون äski ton」古い服、破れた服。

الکو ülkü 約束、近い。

الکا älkä 「الکا بلاق älkä bulaq」エルケ・ブラーク。突厥の一部族の名称。

اغلا oghla 若者。エルグー語。

اغلي oghli ボウフウ(防風 Saposhnikovia divaricata)、セリ科の草本。その味は甘く、カシュガルに産する。食用も可である。

اذما adhma 「اذما یلقي adhma yilqi」老衰して役に立たなくなり、解き放たれた家畜。


v1-0140

ارما örmä 「ارما سج örmä sach」お下げ髪、三つ編みの髪。

ازمان azma 陰嚢が破れて交配できない牡羊。

اژما üzmä 桑、桑の実。

اسمي üsmi 「اسمي ترم üsmi tarim」ユスミー・タリム。イスラム地区から回鶻汗国に向かって流れる一筋の大河。この河は砂漠の中に消えていく。

اکما ägmä 丸天井。房屋の丸天井。

اکما ügmä 「اکما تبراق ügmä topraq」積み上がった土、盛り土。積った状態の物などにも使える。

الما alma 林檎。オグズ語。突厥人は「الملا almila」と言う。

الما olma 壺、甕。

اتنو ötnü 貸借、貸し借り。「من یرماق اتنو بیردم män yarmaq ötnü bärdim」我は銭を貸し出した。

اشو ashnu 先、前。「من اندا اشنو کلدم män andan ashnu käldim」我は彼の前に来た。


v1-0141

اندا anda そこに、そこで。オグズ人はこの言葉を使って「以降、その後」という意味を表す時、「ا」の字を「ن」に替えて「اندان」と言い換える。ただ「そこに、そこで」という意味を表示する時は、その他の人々と同じように「اندا」と言う。

 ※以下アラビア語に関する説明は省略。


فعلی fä'la型の語彙の章


اکي iki 二、二つ。


v1-0142


فعل fuul型で「ج ― ch」で構成されたグンニーの語彙の章


اتنج ötünch 貸し借り、負債。「انکار یرماق اتنج بیردم angar yarmaq ötünch bärdim」彼に銭を貸してやった。

اوتنج utunch 「اوتنج ایش utunch ish」恥ずべき事、面子を失うこと。

اجنج üchünch 三番目、第三の。

اکنج ikinch 二番目、第三の。前の数字への継続と一定の順序を表示する為に、十以下のの数詞の後に先ず「ن」、次に「ج」を加えるのが規則である。例えば、「تورتنج törtinch」四番目、第四の。「بیشنج bäshinch」五番目、第五の、等々である。これらの数詞の語幹は「تورت tört」と「بیش bäsh」あり、上述の意味を表示する為に、先に「ن」、次に「ج」を加えるのである。それらは如何なる数詞の後にも加えることが出来る。「اوننج onunch」十番目、第十の、「بکرومنج yigirminch」二十番目、第二十(即ち十九の後)。これは変わらぬ規則である。

ارنج ärinch 「おおよそ、もしかして」の意を表す助詞。「ال کلدي ارنج ol käldi ärinch」彼は来た様だ、彼は来たかもしれない。

ارنج urunch 賄賂。


v1-0143

ارنج ärinch 快適に、裕福な生活。とある方言中、二つの発音の中間の「ز」を用いて「ارنژ ärinz」とも言う。

اؤنج avinch 慰める、適応する、慣れる。「ال منکا اؤندي ol manga avindi」彼は我に慣れてきた。

اکنج ikinch 二番目、第三の。

اکنج ökünch 後悔、悔やむ、悔恨。「ال تام اکنج اکندي ol tälim ökünch ökündi」彼はとても悔やみに悔やんだ。

اکنج ögünch ほらを吹く。「بو ایشکا نا اکنج کرك bu ishkä nä ögünch käräk」この事に何故ほらを吹く必要がある?

ایلج ilänch 「ایلنج یول ilänch yol」湾曲した路。湾曲したもの全般をこの様に言ってもよい。

النج ilänch 問い詰める、なじる。間違いを犯した人を責める。

امنج umunch 希望、望み。「امنج تنکري کا تت umunch tängrigä tut」望みを神に寄せる。

اننج onunch 十番目、第十の。「اننج یرماق onunch yarmaq」十枚目の銭。その他にも用いる。

اننج inanch 信心、信任、頼るべき、信ずるに足る。「اننج بك inanch bäg」頼りになるベグ。


v1-0144


本章中の فعنلی fäinlā 型の動符を帯びた語彙


اتنجو atinchu 「اتنجو ننك atinchu näng」投げる物。

اتنجو itinchü 投げられた、捨てられた。「اتنجو ننك itinchü näng」棄てられたもの。

اذنجو idhinchu 開かれた、放っておかれた、空いた。「اذنجو سج idhinchu sach」残った髪、男は年取って禿げて髪が一部だけ残る。荷物を載せてない、或いは解き放たれた家畜を「اذنجو یلقي idhinchu yilqi」と呼ぶ。

ارنجو arinchu 罪。

اؤنجي avinchu おもちゃ、人形。「اؤنجو ننك avinchu näng」おもちゃの人形、楽しい物。奴婢のことも「اؤنجو avinchu」と呼ぶ。

اقنجي aqinchi 夜討ちする者、夜襲隊。


本章中「ك ng」で構成されたグンニーの語彙


ابنك abang もしも。「ابنك سن برسا سن abang sän barsa sän」もし、お前が行くなら。


v1-0145

اتنك otung 薪。

ارنك ürüng 白、白い。白いもの一般。オグズ人は「اق aq」と呼ぶ。

ارنك ürüng 白斑、白い点。幼児の爪にある白斑を「ترنکاق ارنکي tingaq ürüngi」と呼ぶ。

ارنك örüng 占い師への報酬。「الك ارنکي پير älik örüngi bär」手に卦金を与えた。

ارنك üräng ユラン。ルームの北部辺境の近辺にある地名。正確には「ورنك wäräng」と書く。

ارنك iring 膿。

اشنك üshäng 「اشنك تاش üshäng tash」つるつるした石。他の方言では「یشنك yüshäng」と言う。

النك alang 広い、広々とした、広場、開けた地。「النك یزي alang yazi」広大な原野、広々とした平地。この言葉は「開かれた大門」を意味する「انکل amgil」から字を替えた形式である。


本章中のムザッワーフの語彙


انکك ängäk 頬。口の両側の頬。

انکك ängäk 女性用のマントを結び紐。


v1-0146

انکك öngik 付け毛。山羊の毛で作った女性用の付け毛。「انکك یرکیاك öngik yörgäräk」付け足された頭髪。この言葉の「その他、別の」を意味する「انکي öngi」に由来する。

انکك öngük 房。枕の両端に付いている房。


本章中の四字の語彙


انکي öngi その他の、別の。この言葉の字の「ی」と「ن」交替してる。その原形は「انکن öngin」である。


本章中の別の一類


ارنکیو ärängäyü 六本指。六本指の人。

ارنکیو ärängäyü チビ。身長が二ゲズ(142㎝)に満たないチビ。


فعالو fäalu,فعالو fualu,فعالو fialu 型の各種動符を帯びた語彙


الاتو ulatu 鼻をかむハンカチ。折り畳んで懐に入れる。


v1-0147

الاجو alachu 藁ぶき小屋、掘っ立て小屋。

اباجو abachi 妖怪。子供を脅かす時「اباجي کلدي abachi käldi 化物が来た」と言う。

اغنجي aghichi 倉庫役。

الاغو ulaghu 「الاغو نانك ulaghu näng」繋ぎ合わせる物。

الیغو ulighu 咆哮する時、遠吠えする時。「بو اغر ال بري الیغو bu oghur ol böri ulighu」この時に狼が遠吠えしている。

اباقي abaqi かかし。邪眼に拠る害を防ぐために果樹園や菜園に立てる魔よけの案山子。

اتاقي ataqi 父親に対する愛称。

اتاکو itägü 回る上臼に取り付られた調節具。粗目の粉を挽く時に、それを使って石を高めに調整し、細かい粉を挽く時は、それを使って低めに調整する。

اجکو ichägü 内臓、腸。腹の中の臓器一般を指す。

الیکا ülikä 寄生木。ある種の寄生植物。

اناکو inägü 臍の附近に起きる岔気の様な病痛。

اباکي abali(ابالي) 悪い意味で「少ない」と言う時に使う言葉。


v1-0148

انومي anumi 癩病。

اکاما ikämä ある種の楽器。コブズに似た弦楽器。


本章中、語頭後語尾がイラットの文字の語彙


ایاکو äyägü 傍ら、側。天幕の側面を「ایاکو äyägü」と呼ぶ。山間の高地を「ایاکو ییر äyägü yär」と呼ぶ。


「ن」で終わる語彙


اشجان ashichan アシチャーン。秦に行く途中必ず通る一都市。

الوجین aluchin 節のある草で、食べられる。

ارمدون urumzun 顔料。

اراغون uraghun インド産の一種の薬品。

اتوکان ötükän ウトュケン。タタール草原上の一地名、回鶻汗国にやや近い。


本章中の別の一類


الملا almila 林檎。


v1-0149

ارمکو ämägü 怠け者、ものぐさ。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  ارمکوکا بلت یك بلور

  ärmägügä bult yük bolur

  怠け者には雲も荷となる。  

اغلاغو oghlaghu 衣食が満ち足りた環境で育った人。「اغلاغو قاتون oghlaghu qatun」貴婦人、生活が裕福な貴婦人。

اخشاغو ohshaghu 玩具、おもちゃ。婦人のことも「اخشاغو ohshaghu」と呼ぶ。


افاعول äfaul 型の各種動符を帯びた語彙の章


اروبات arubat アルーバート(印度棗)。

اراغوت uraghut 婦女。

اراموت aramut アラームート。回鶻汗国附近のテュルク部族。

اراموت aramut アラームート。とある地名。

اقیلاج iqilach 言うことを聞かないが善く馳せる馬。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  الب ارك یؤرتما اقیلاج ارقاسن یغرتما

  alp ärig yavritma ikilaq arqasin yaqritma

  猛き男を疲れさすな 駿馬の背を痛めるな

 この諺は優れた者を用いることをベグに勧めている。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  افیلاجم ارك بلدي

  iqilachim ärik boldi

  ارك بلغو یري کردي

  ärik bolghu yäri köndi

  بلت اورب کوك ارتلدي

  bulit örüp kök örtüdi

  تون تورب تلي یغدي

  tuman turup toli yaghdi

 我が駿馬は善く馳せ、他の馬に競り勝った。馬もまた尤もと思った。霧が立って雲が湧き、氷雨が降って来た。


v1-0150

الاوان alawan 鰐。


افعلان äf'älan 型の語彙の章


اربغان arpaghan 冰草。大麦とよく似た植物で、穂はつくが実は稔らない。


v1-0151

ارمغان armaghan 旅から帰った人が共に与えるお土産。オグズ語。その他の人は「یرمقان yarmaqan」と呼ぶ。その意味は「امج amch」である。


فعنلي fiinli 型の各種動符を帯びた語彙の章


اتندي itindi 「اتندي نانك itindi näng」掻き退けられた物。

اقندي aqindi 「اقندي سوؤ aqindi suv」流れる水。

اکندي äkindi 「اکندي ترغ äkindi tarigh」蒔かれた種。

اکندي ögündi 「اکندي کشي ögündi kishi」讃えられた人。

اکندي ikindi 「اکني نانك ikindi näng」二番目の物。

اکندي ikindi 日暮れ、夕方。


三字の語彙の篇は完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る