第31話~第40話


<31話予告>

 駆ける。駆ける。闇の中、人の業を追って走る男。

 駆ける。駆ける。闇の中、人を喰らう悪意から逃げる女。

 いにしえの怪物が動き出す。崇高が俗悪を指嗾する。

 敵の敵さえも敵と定めて、おぞましき天使たちが羽ばたく。


 次回、第31話『天国』


 ――地獄、ここにあり。




<32話予告>

 存在すら許されざる禁忌。

 何のために生まれて来たのか。何のために殺し、死にゆくのか。

 言葉なき叫びが聞こえていた。存在することを懺悔していた。

 その罪深さを知ればこそ、遂に偽善と独善が並び立つ。


 次回、第32話『救い』


 いかなる正義を以てしても、“兵器”を裁くことはできない。




<33話予告>

 正直者は馬鹿を見る。然り、人類文明の一真理。

 だとしても、偽れぬものがある。

 意地も威厳もかなぐり捨て、身を委ねるに足る衝動がある。

 幼稚な私情、と理性が言った。

 今こそ怒れと、心は言った。


 次回、第33話『至上命令』


 勝利が苦いと知っていてなお、戦うことしかできなかった。




<34話予告>

 ニヒリズムこそ、宇宙で最も確かな哲学に他ならない。

 アナーキズムこそ、民主主義なる思想の窮極に他ならない。

 それらは真理に最も近く、ゆえにこそ最も無意味である。

 ならば、絶対者たる神は。この世の誰より無力な存在か。


 次回、第34話『機械仕掛けの神々ディ・エクス・マキーニ


 全能なる者の孤独。




<35話予告>

 強くなることが義務だった。強くあることが当然だった。

 護船二十三氏族。伏神流柔闘術伝承者。

 数多の宿命に縛られ、彼女は青春を“武”に捧げた。

 だが、強さとは何であったか。


 次回、第35話『獣人』


 揺らぐ心を弱さと呼ぶうちは、真の強さなど知り得ない。




<36話予告>

 歴史の闇からまたひとつ、黒い真実が立ち現れてくる。

 人はなぜ、獣に帰ったか。獣はなぜ、人と争うのか。

 再会は、再戦の始まり。

 拳と拳。剣と剣。因縁と陰謀が交差する。


 次回、第36話『原初播種船』


 憎しみの叫びと同じ言葉で、人はときに愛を伝える。




<37話予告>

 星の海に眠る財宝。その力が、戦の潮目を変えた。

 欲望に憑かれた鴉どもが、輝く渦状腕を遡る。

 遺跡。それは文明の墓標。かつて在り、いまは亡きものの影。

 過去の主は誰か。


 次回、第37話『オーバーテクノロジー』


 ドレークの方程式を殺す、冷酷なるエントロピーの風。




<38話予告>

 未来への片道切符ならば、時間旅行も不可能ではない。

 アインシュタインが予言した、時空さえ歪む速度域の奇蹟。

 そこは飛翔せる聖地。時の最果てを目指す、巡礼の歩み。

 一日に千秋が去来する、神速の庭を“いま”が追う。


 次回、第38話『遷光船団』


 ひとつの悲しみが疾走する。光さえ、追いつけない迅さで。




<39話予告>

 常識がなくば、理性は立たぬ。

 無から有が生じることはない。死者が甦ることはない。

 あり得ざる無数の絵空事を、排して残るものこそ現実。

 ――それが、いかに狂気じみていても。

 ここに、無意味と混沌がある。廃滅と、冒涜と、“魔”が潜む。


 次回、第39話『冥宮』


 虚無だけが、永遠に滅びない。




<40話予告>

 子供を愛さない親はいない、そんな嘘を信じはしなかった。

 だが、老兵の語る過去には、子が知らぬ親の物語がある。

 信用をあがなう人身御供。

 その真意を知るとき、ハンスは生まれて初めて父に出会う。


 次回、第40話『拝啓、父へ』


 ことばが伝え得ない感情を、あえて託したことばは詩になる。

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