家出

嫌になりすぎて、私はついに家出を決めました。


心の中では、本当に出ようか迷ってて、


でもその日出なかったとしたら、また明日同じことをされてしまう。


それだけは死んでも嫌でした。


もう2度とあんなことをされるのはごめんでした。


それでも、置き手紙をして家を飛び出しました。


内容はしっかりとは覚えていませんが、


たしか


弟をたくさん愛してあげてくださいだとか、


放っといてくださいだとか。


そうしてもう何年も放置されていた自転車に跨がって、


必死に最寄りの駅まで必死に漕ぎました。


1秒でも早く、少しでも遠くへ。


そうして夜中に電車に飛び乗り、できるだけ遠くへ逃げました。


真冬の夜は凍えるほどに気温が下がり、


最悪ここで死んだとしても、それでもいいと思いました。


まぁ、結論を言えば死ななかったんですけども。


2日間の逃亡の末、私は警察に保護されてしまいました。


本当は、この逃亡に沢山の方のお力添えをいただきましたが、


それは伏せておくことにします。


ですが、保護されたらおしまいじゃないかと思った方も多いのでは。


私は保護されてしまったとき、どうして家を出たのかを警察の方に話しました。


だからどうしても戻りたくないこと、


戻るくらいなら死んだ方がマシだと言うことも話しました。


泣きながら、でもちゃんと伝わるように。


警察の方は男の方でしたが、相づちを打ちつつ聞いてくれました。


一通り話し終わって、とりあえず警察署に行こうとなったとき。


保護されたその場所に、父が来たんです。


予想していなかった事態に、思考回路がフリーズしました。


事情を先に話していたため、


警察の方が前に出て近づかせないようにしてくれました。


それでも過呼吸は起こすし怖いし。


嫌な思い出しかない家出。


そこから、私は児童相談保護所に引き取られることになりました。

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