普通は壊れる

私が何かがおかしいと気づいたのは、小学6年生の卒業が迫っている時でした。


家族構成は父と母、7つ離れた弟と私の4人家族でした。


父は養父で、私とは血が繫がっていません。


弟とは、父親違いの兄弟でした。


小さい時のことは何となく覚えています。


なので、父が本当の父親でないこともわかっていました。


3才から5才まで母方の祖父母と暮らし、7才に上がる前に母が再婚しました。


そこから2年ほどで弟ができて...


なんてことはありません。


ごくごく普通の家庭でした。


人並みの幸せがあり、人並みの生活。


「お父さんが転勤なの。だから引っ越すんだよ。」


それが2回ほど聞かされたときだったでしょうか。


明らかに父が家から出なくなりました。


年齢が上がるにつれて、何となく色々とわかるようになってくると、


父は働いてないんだなということがわかりました。


実際に母の口からも聞いたことがあります。


「お父さん?あぁ、働いてないよ。」


平然と言ってのけた母親の神経を軽く疑ったのを覚えています。


それでも、普通の家庭には見える生活が送れていました。


今思えば、どうやって生活をしていたのかはわからないままです。


小学校卒業間近。


何がきっかけだったかは覚えていません。


母も弟もいない、2人だけの時です。


部屋に呼ばれて、服を捲し上げられて。


思い出して吐き戻してしまうほどに、


気持ち悪い思い出です。


父は、いやがると脅しをかけてきました。


「じゃあ、学校いかせねぇよ?」


本能的にそれはだめだと思いました。


もともとクラスになじめてなんかいなかったので、


学校にすがりつく理由もなかったのに。


一般の家庭だったはずなのに、


その日から『普通』が壊れていきました。

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