第7話

それを見て男が言った。


「やらないのかい。まんざら馬鹿でもないようだな。ただいくら賢かったとしても、助かる方法はないんだけどなあ」


「……」


「男の剥製を造る趣味はないんでね。あんちゃんはその命だけもらうことにするよ」


そのときである。


いきなり女の声が聞こえてきた。


「ユルサナイ」


――えっ?


「ヨクモコロシタナ」


小さくささやくような声だったが、間違いなく女の声だった。


男にも聞こえたのか、不安げに首を左右に動かしていた。


そして声の主を確かめようとしたのか、ライフルを俺のほうに向けたまま中に入って来た。


するとまた声が聞こえてきた。


「ユルサナイ」


「コロシテヤル」


すると十数体いる女の剥製が一斉に動き、男に向かって行った。


「うわっ!」


男は先ほどまでとはうって変わって、甲高い声をあげた。


その間にも女の剥製は男に迫っていた。

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