オーバードフレーム

門之倉樟

第一部 ゲーム編

第1話 呪いのゲーム

 あの日、アーケードゲーム『オーバードフレーム』の大会があった。『オーバードフレーム』とは、最大4on4で戦う人型ロボットアクションゲームだ。ロボットのコックピットを模した専用の筐体があり、その中にあるスペース入って操作する本格的なゲームだ。今では稼働し始めてから十年ほどの時間がある。

 そのゲーム大会に僕たち二次元同好会の先輩である速村はやむら厚志あつし先輩と、芝水しばみずまい先輩が参加していた。先輩たちはタッグカップでの参加者だった。

 彼らはかなりの腕前を誇り、全国大会に参加することになった。幸い僕たちは東京付近に住んでいたのと、全国大会の決勝の場所が東京だったのこと、そして開催日が日曜日のため、何の問題なく先輩たちの戦いを見ることが出来たのだ。

 大会当日の日、僕らは先輩たちが勝つのを祈りあがら、その大会を観戦していた。そして先輩たちは並いる強敵を達を倒してタッグカップ部門で優勝。そのあと優勝者の表彰をされたのが、僕たちが先輩を見た最後だった。

 表彰されたあと、優勝者専用の話があるみたいで帰るのが遅くなるということだったため、僕たちと先輩たちは別れたあと、適当に遊んで帰った。

 次の日、いつもように登校した僕たちへ、先生たちが先輩二人の死亡を告げるのだった。交通事故だったらしい。僕たちはそのことを信じられず、どこか嘘だと決めつけていた。

 事実、葬式も既に済ませたそうで、もう遺体は存在しないとのことだった。その代わりに頑なに信じなかった僕たちに対して、事故現場の写真を見せてもらった。



 ネット上では『オーバードフレーム』は呪いのゲームだと噂されている。ここ十年間、大会やICカードなどで良い成績を残したプレイヤーの全てが消息不明になったり死亡していたりするという話だ。

 その話を裏付けるものとして、大会の優勝者が予選を含めて二度と参加していないことや、優勝者の友人たちの書き込みなどがあった。

 そんな噂もあるために基本的に『オーバードフレーム』はプレイヤー人口が少ない。したがって、場所は取るしプレイヤーが少ない専用筐体を、普通はゲームセンターがいつまでも置く理由はない。

 これもネットの店員のいう話だが、このゲームは筐体を置いておくだけで、これを提供したゲーム会社から維持費という名目で一定の金額が店に入るみたいらしい。その金額は明らかに多いみたいで、仮に一ヶ月でゲームプレイ全くプレイされていなくても、置いているだけで利益が出るらしい

 またユーザー獲得のためか、大会でやICカードを使用したプレイ結果が一定以上の好成績を残したプレイヤーにはプレイ料金免除の制度もあるし、同じくICカードを用いた新規プレイヤーのキャンペーンもある。そのため、お金が少ない学生なんかが数少ないユーザーの中心となっている。

 このような理由があるため、少ないプレイ人口の割に多くのゲームセンターに置かれていたのだった。



 僕――山賀さんが歩武あゆむ――は先生からこっそり頂いた先輩たちの事故現場の写真を見る。その写真には目を凝らしてよく見れば、微かに感じる違和感があった。

 それが霊的なものなのか、それとも合成写真なのか僕には判断がつかないけど、この事件を通して一つ決意した。

 この事件の真相を見つけることだ。そのために先輩たちのような凄腕の『オーバードフレーム』のプレイヤーになることを――

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